第1回 <尊敬>
― 聴衆の皆様とともに創りあげる10年プロジェクト ―
一連のデビュー40周年記念コンサートを終えて、ソリストとして新たな音楽人生を歩み始めた大谷康子。円熟期を迎え、自らの演奏家としての歩みや信じることを「より深く、よりわかりやすく、より楽しく」聴衆の皆様と分かち合って行きたい、大谷が40年間、あたためてきた音楽に対する想いをお客様に届けたい、その熱い気持ちからこのシリーズがスタートします。クラシックのファン層を広げたいという理念とともにお客様と一緒に築いていく10年がかりのプロジェクト。大谷が大切にしてきた宝物の数々を10回のコンサートで表現します。シリーズを通して、ご一緒に宝さがしを楽しみませんか?
シリーズの第1回は「尊敬」。東京芸術大学に学んだころ、音楽の神様たちと向き合うところから大谷の音楽人生は始まりました。そして、その尊敬の念は今も変わらず、音楽の方向性に思い悩む時、立ち返るのが、この偉大な作曲家たちの音楽です。
出演
大谷康子(ヴァイオリン)
練木繁夫(ピアノ)
プログラム
- J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ
第2番 ニ短調 BWV.1004より “シャコンヌ” - ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第7番 ハ短調 op.30-2
- ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 op.108
- バルトーク:ルーマニア民俗舞曲 Sz.56
プロフィール
大谷康子(ヴァイオリン) Yasuko Ohtani, violin
昨年デビュー40周年を迎えた人気・実力ともに日本を代表するヴァイオリニスト。1708年製ピエトロ・グァルネリを使用。華のあるステージ、深く温かい演奏で聴衆に感動と喜びを届けており「歌うヴァイオリン」と評される。
東京芸術大学、同大学院博士課程修了。全日本学生音楽コンクール第1位。シェリング来日記念コンクール第2位。在学中よりソロ活動を始め、ウィーン、ローマ、ケルン、ベルリンなどでのリサイタルも絶賛を博す。トロント音楽祭、ザルツブルグ市などに招待されてコンサートを開き好評を得る。国内外のオーケストラとも共演を重ね、スロヴァキアフィル、シュトゥットガルト室内楽団、また昨年のキエフ国立フィルとの日本ツアーも大成功であった。また1公演で4曲のヴァイオリンコンチェルトを演奏する前代未聞の快挙を達成し話題となった。クラシック以外でも意欲的な活動が続き、ジャズピアニスト山下洋輔氏とのコンサートでは新境地を開いた。文化庁「芸術祭大賞」受賞。長年病院や施設での訪問演奏にも力を注ぎ、被災地に演奏を届ける活動も精力的に続けている。
CDはロングセラー「夢のあとに」「椿姫ファンタジー」(SONY)ほか多数。ベルリン・イエス・キリスト教会での録音「R.シュトラウス / ベートーヴェンソナタNo.5」(ピアノは名手イタマール・ゴラン / SONY)も高い評価を受けている。新譜は「大谷康子のお菓子な名曲サロン」(KING)。
東京音楽大学教授。東京芸術大学講師。(公財)練馬区文化振興協会理事長、川崎市市民文化大使。高知県観光特使。(公財)日本交響楽振興財団理事。
2016年4月からはBSジャパン(テレビ東京系列)の新番組「おんがく交差点」(毎週水曜日 夜23時30分から30分番組)で春風亭小朝と司会、演奏を務め、多彩なゲストとの共演も注目されている。
練木繁夫(ピアノ) Shigeo Neriki, piano
1976年ツーソンのバイエニアル・ピアノ・コンクールと79年ピッツバーグのスリー・リヴァーズ・ピアノ・コンクールで1位に輝いた。これまでにボストン響、シカゴ響、ピッツバーグ響、ワシントン・ナショナル響等と共演。アメリカ国外でもメキシコ国立響、フランス放送管、そしてN響を含む日本の主要なオーケストラと共演。また、76年より、チェロの巨匠ヤーノシュ・シュタルケルとともに世界各地を公演した。09年紀尾井ホールでの「デビュー30周年記念リサイタル」は、各方面から高い評価を得た。室内楽奏者としてもヨーロッパ、アジア、北米のコンサートやフェスティバルに数多く出演。93年第24回サントリー音楽賞を受賞。90年シュタルケルと収録したD.ポッパーの作品のCDが、グラミー賞のソリスト部門にノミネートされた。97年にはオール・シューマン・プログラムの「パピヨン」が、文化庁芸術祭賞作品賞を受賞。81年~2015年までインディアナ州立大学で教鞭をとった。現在、桐朋学園大学教授、国立音楽大学招聘教授、相愛学園大学客員教授、エリザベート音楽大学非常勤講師、霧島国際音楽祭企画委員。リサイタルのみならず、室内楽、オーケストラ共演と幅広く活躍中。
[今後の公演テーマ(10年の計画)]
第2回 <敬愛>
サラサーテのツィゴイネルワイゼンを中心に、ロマの音楽やサラサーテを巡る数々の音楽家の曲を集めます。
ツィゴイネルワイゼンは大谷康子が弾き込んできた、もっとも得意とする曲です。
第3回 <愛>
愛には様々な形がありますが、愛を巡るロマン派の巨匠たちの音楽を取り上げます。
クララ・シューマン、ロベルト・シューマン、ブラームス、ドヴォルザーク…
師弟愛、恋愛、友愛が織りなす人間関係は彼らロマン派の作曲家の音楽として結晶したのです。
第4回 <愛情>
教え子たちと音楽をする時間は至福の時間です。子弟とは先生と弟子の関係であり、お互いに切磋琢磨する同行の士。大谷康子の薫陶を受けた音楽家たちがその精進の末につかんだ音楽を聴衆の皆様にお聴かせします。
第5回 <情熱>
大谷康子は、実はタンゴが好きなのです。題名のない音楽会に出演しだした頃から、その才能は故黛敏郎先生や番組スタッフに絶賛されていました。大谷康子が得意とするタンゴや映画音楽の濃厚で熱い世界をご堪能いただきます。
第6回 <忘我>
大谷康子の性格をひとことで表すと「忘我」。時間を忘れ、食事を忘れ、レッスンも終わりを知らず、我を忘れて、大声を張り上げ…熱心なあまりに、やりだすと止まらない性格。ということで、聴衆の皆様にも大谷康子のレクチャーコンサートを受けていただきましょう。超有名小品と、ピアノ伴奏ではなかなか聴けないヴァイオリンコンチェルト付きで。
第7回 <好奇心>
ヴァイオリンが趣味、と言い切れる大谷康子!!でも、実は他にも夢中になれることがいろいろあります。好きなことは、美術、古典芸能、演劇鑑賞…なかでも、お菓子を食べながら、鉄道や船や飛行機に乗ることが大好きなのです。皆様をそんな好奇心溢れる音楽の旅にいざないます。
第8回 <日本>
私たちの生まれ育った国-日本。お母さんが歌ってくれた歌、故郷に伝わる童謡、民謡。そして世界へ羽ばたこうとした日本のクラシック音楽の作曲家たち。私たち日本人の音楽を、大谷康子の奏でる調べで改めて振り返ります。
第9回 <未来>
未来をつくるのはこどもたち!大谷康子がヴァイオリンを始めたのは3歳の時、今はつたなくても楽器を学ぶことで広がる世界、感じる心は育まれる。こどもの頃にスター音楽家に憧れたように、この子たちにも「音楽を通して明るい未来を!」。大谷康子が幼稚園生や小学生とも共演する、未来に飛翔する音楽会です。
第10回 <夢。音楽の力で世界をひとつに♪>
音楽の持つ力で、民族・国境を越えて、世界中を仲良く、ひとつにし、明るい未来を創ろうという感動のフィナーレです。