第2回 <敬愛>
― 聴衆の皆様とともに創りあげる10年プロジェクト ―
「大谷康子のヴァイオリン賛歌」は、クラシック音楽のファン層を広げたいという熱い思いを抱くヴァイオリニスト大谷康子が、ハクジュホールのお客様と一緒に築いていく10年がかりのプロジェクトです。
第2回のテーマは「敬愛」。大谷康子といえば、すぐに思い浮かぶのが、ヴァイオリンの名曲中の名曲、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」!3000回以上弾き込んできた大谷康子の代名詞ともいえる曲です。コンサートシリーズ第2回は “ロマの旋律” という意味を持つこの曲や、今年生誕150周年を迎えるスペインの国民的作曲家グラナドス、そしてそのサラサーテと「敬愛」で繋がる作曲家たちの曲をお届けします。
ピアニストは深い洞察力と卓越した音楽性で高い評価を受ける佐藤卓史。そして世界的ギタリスト、ナルシソ・イエペスに認められ、スペインで研鑽を積んだ名ギタリスト荘村清志をゲストに迎えます。
大谷が敬愛してやまないサラサーテとスペイン音楽の世界を探訪し、そこに散りばめられた音楽の宝物を集める旅にお出かけになりませんか?
出演
大谷康子(ヴァイオリン)
佐藤卓史(ピアノ)
ゲスト:荘村清志(ギター)
プログラム
第2回 <敬愛>
- グラナドス(クライスラー編):「スペイン舞曲集」op.37より 第5番 アンダルーサ ホ短調
- グラズノフ(クライスラー編):「2つの小品」 op.20より 第2番 “スペインのセレナーデ”
- ラロ(シゲティ編):歌劇「イスの王様」より “愛しい人よ”
- ラロ:スペイン交響曲 op.21より 第2、4楽章
- サン=サーンス:序奏とロンド・カプリツィオーソ op.28
- ラヴェル:ツィガーヌ
- イベール:間奏曲 ※
- ファリャ(コハンスキ版):スペイン民謡組曲 ※
- サラサーテ/ワックスマン/フバイ:カルメン幻想曲 ※
- サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン op.20
※は荘村清志との共演
プロフィール
大谷康子(ヴァイオリン) Yasuko Ohtani, violin
2015年にデビュー40周年を迎えた人気・実力ともに日本を代表するヴァイオリニスト。1708年製ピエトロ・グァルネリを使用。華のあるステージ、深く温かい演奏で聴衆に感動と喜びを届けており「歌うヴァイオリン」と評される。東京藝術大学、同大学院博士課程修了。全日本学生音楽コンクール第1位。シェリング来日記念コンクール第2位。在学中よりソロ活動を始め、ウィーン、ローマ、ケルン、ベルリンなど国外での主要地でのリサイタル、さらにはトロント音楽祭、ザルツブルグ市などに招待されてコンサートを開き絶賛を博す。東京交響楽団と1公演で4曲のヴァイオリンコンチェルトを演奏する前代未聞の快挙を達成し話題となったほか、スロヴァキアフィル、シュトゥットガルト室内楽団、モスクワフィルなど国内外の著名なオーケストラと共演を重ねており、17年5月にはウィーンのムジークフェラインでアドリアン・コックスとリサイタルを開催。同月“キエフの春音楽祭”に招聘され、キエフ国立フィル(指揮:ジャジューラ)と共演し絶賛を博す。6~7月にはモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団(指揮:シモノフ)と日本ツアーで共演。クラシック以外でも意欲的な活動が続き、ジャズピアニスト山下洋輔氏とのコンサートでは新境地を開いた。文化庁「芸術祭大賞」受賞。長年病院や施設での訪問演奏にも力を注ぎ、被災地に演奏を届ける活動も精力的に続けている。CDはロングセラー「夢のあとに」「椿姫ファンタジー」(SONY)ほか多数。ベルリン・イエス・キリスト教会での録音「R.シュトラウス/ベートーヴェンソナタNo.5」(ピアノは名手イタマール・ゴラン/SONY)も高い評価を受けている。新譜は「大谷康子のお菓子な名曲サロン」(KING)。東京音楽大学教授。東京藝術大学講師。(公財)練馬区文化振興協会理事長、川崎市市民文化大使。高知県観光特使。(公財)日本交響楽振興財団理事。16年4月からはBSジャパン(テレビ東京系列)の新番組「おんがく交差点」(毎週水曜日 夜23時30分から30分番組)で春風亭小朝と司会、演奏を務め、多彩なゲストとの共演も注目されている。
佐藤卓史(ピアノ) Takashi Sato, piano
4歳よりピアノを始める。2001年第70回日本音楽コンクールピアノ部門第1位、併せて野村賞、井口賞、河合賞、三宅賞を受賞。03年秋田市文化選奨を受賞。翌年には史上最年少で第30回日本ショパン協会賞を受賞した。07年第11回シューベルト国際コンクールで第1位並びに特別賞を受賞。10年エリザベート王妃国際コンクール入賞。11年には第21回カントゥ国際コンクール(クラシック部門)で優勝し、12年11月の第8回浜松国際ピアノコンクールにおいても第3位および室内楽賞を受賞した。これまでに都響、東京フィル、東響、ミュンヘン室内管、シドニー響、ベルギー国立管等の公演に出演。室内楽奏者としても活躍しており、篠崎史紀、堀米ゆず子、大谷康子、山崎伸子、藤森亮一、澤和樹、佐藤俊介、カール・ライスター、山本貴志、米元響子などと共演している。最近では、ジョナサン・ノット指揮/東京交響楽団音楽監督就任披露演奏会、ユベール・スダーン指揮/広島交響楽団定期演奏会、現田茂夫指揮/NHK交響楽団地方公演に出演。録音においても多くのCDをリリースし、いずれも高い評価を得ている。なかでも佐藤俊介との共演によるCD「グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ集」(ナミ・レコード)は平成19年度文化庁芸術祭レコード部門《大賞》を受賞した。2014年より、シューベルトのピアノ関連器楽曲全曲演奏プロジェクト「佐藤卓史シューベルトツィクルス」を展開中。内外のアーティストから厚い信頼を寄せられ、今後の活躍が期待されるピアニストである。
荘村清志(ギター) Kiyoshi Shomura, guitar
荘村清志は実力、人気ともに日本を代表するギター奏者として近年ますます充実した活動を展開している。2017年から19年のデビュー50周年に向けてギターの様々な可能性を追求する「荘村清志スペシャル・プロジェクト」(全4回)に取り組む。第1回は17年3月東京オペラシティコンサートホールにてさだまさしと共演、ジャンルの垣根を越えたコラボレーションが話題となった。9歳からギターを始める。1963年来日した巨匠ナルシソ・イエペスに認められ、翌年スペインに渡り師事。67年、68年にはヨーロッパ各地でリサイタルを行い、69年の日本デビュー・リサイタルで、「テクニック、音楽性ともに第一人者」との高い評価を得た。71年には北米各都市で28回にのぼる公演を開き、国際的評価を確実なものにする。74年にはNHK教育テレビ「ギターを弾こう」に講師として出演し、一躍日本全国にその名と実力が知られることになった。以後、リサイタルや、日本の主要オーケストラとの共演ほか、99年マルク・グローウェルス(フルート)、01年グローウェルスと、インマ・ゴンザレス(カスタネット)との共演、04年女優の岸田今日子とのコラボレーションによる「ギターと朗読の庭」のツアーを行い、カステルヌオーヴォ=テデスコの「プラテーロとわたし」をメインにした内容が好評を博す。05年にはCD「郷愁のショーロ」をリリース、アコーディオンのシュテファン・フッソングをゲストに、猿谷紀郎の委嘱新曲と新アレンジを含む意欲的なアルバムで、東京や大阪で記念コンサートを開催するなどギターの魅力をさまざまな形で伝えている。07年にはNHK教育テレビ「趣味悠々」に講師として登場し、改めて日本ギター界の第一人者としての存在を強く印象づけた。08年ミラノ弦楽合奏団の日本ツアーにソリストとして参加。同年ビルバオ交響楽団の定期演奏会に出演。「アランフェス協奏曲」を録音し09年にCDをリリース、また同団との日本ツアーを行い好評を博した。14年デビュー45周年を記念して東京にて大友直人指揮東京都交響楽団と協奏曲3曲を演奏。15年10月にはイ・ムジチ合奏団と共演、レコーディングを行い、ジュリアーニ、ヴィヴァルディのギター協奏曲を含むアルバムが16年1月にリリースされた。現代のギター作品を意欲的に取り上げるだけでなく、日本人作曲家に多数の作品を委嘱、初演するなど、ギターのレパートリー拡大にも大きく貢献している。特に武満徹には74年に「フォリオス」、93年に「エキノクス」を委嘱、77年荘村のために編曲された「ギターのための12の歌」を初演・録音、96年には「森のなかで」を全曲初演している。16年は武満徹没後20年に際し、同氏のギター曲を各地で演奏し好評を得た。現在、東京音楽大学客員教授。
[公演テーマ(全10回)]
第1回 <尊敬> 2016年
東京藝術大学に学んだころ、音楽の神様たちと向き合うところから大谷の音楽人生は始まりました。そして、その尊敬の念は今も変わらず、音楽の方向性に思い悩む時、立ち返るのが、この偉大な作曲家たち(J.S.バッハ、ベートーヴェン、ブラームス、バルトーク)の音楽です。
第2回 <敬愛> 2017年
サラサーテのツィゴイネルワイゼンを中心に、ロマの音楽やサラサーテを巡る数々の音楽家の曲を集めます。ツィゴイネルワイゼンは大谷康子が弾き込んできた、もっとも得意とする曲です。
第3回 <愛>
愛には様々な形がありますが、愛を巡るロマン派の巨匠たちの音楽を取り上げます。
クララ・シューマン、ロベルト・シューマン、ブラームス、ドヴォルザーク…
師弟愛、恋愛、友愛が織りなす人間関係は彼らロマン派の作曲家の音楽として結晶したのです。
第4回 <愛情>
教え子たちと音楽をする時間は至福の時間です。子弟とは先生と弟子の関係であり、お互いに切磋琢磨する同行の士。大谷康子の薫陶を受けた音楽家たちがその精進の末につかんだ音楽を聴衆の皆様にお聴かせします。
第5回 <情熱>
大谷康子は、実はタンゴが好きなのです。題名のない音楽会に出演しだした頃から、その才能は故黛敏郎先生や番組スタッフに絶賛されていました。大谷康子が得意とするタンゴや映画音楽の濃厚で熱い世界をご堪能いただきます。
第6回 <忘我>
大谷康子の性格をひとことで表すと「忘我」。時間を忘れ、食事を忘れ、レッスンも終わりを知らず、我を忘れて、大声を張り上げ…熱心なあまりに、やりだすと止まらない性格。ということで、聴衆の皆様にも大谷康子のレクチャーコンサートを受けていただきましょう。超有名小品と、ピアノ伴奏ではなかなか聴けないヴァイオリンコンチェルト付きで。
第7回 <好奇心>
ヴァイオリンが趣味、と言い切れる大谷康子!!でも、実は他にも夢中になれることがいろいろあります。好きなことは、美術、古典芸能、演劇鑑賞…なかでも、お菓子を食べながら、鉄道や船や飛行機に乗ることが大好きなのです。皆様をそんな好奇心溢れる音楽の旅にいざないます。
第8回 <日本>
私たちの生まれ育った国-日本。お母さんが歌ってくれた歌、故郷に伝わる童謡、民謡。そして世界へ羽ばたこうとした日本のクラシック音楽の作曲家たち。私たち日本人の音楽を、大谷康子の奏でる調べで改めて振り返ります。
第9回 <未来>
未来をつくるのはこどもたち!大谷康子がヴァイオリンを始めたのは3歳の時、今はつたなくても楽器を学ぶことで広がる世界、感じる心は育まれる。こどもの頃にスター音楽家に憧れたように、この子たちにも「音楽を通して明るい未来を!」。大谷康子が幼稚園生や小学生とも共演する、未来に飛翔する音楽会です。
第10回 <夢。音楽の力で世界をひとつに♪>
音楽の持つ力で、民族・国境を越えて、世界中を仲良く、ひとつにし、明るい未来を創ろうという感動のフィナーレです。