第4回 <愛情>
― 聴衆の皆様とともに創りあげる10年プロジェクト ―
「大谷康子のヴァイオリン賛歌」は、クラシック音楽のファン層を広げたいという熱い思いを抱くヴァイオリニスト大谷康子が、ハクジュホールのお客様と一緒に築いていく10年がかりのプロジェクトです。第4回のテーマは「愛情」。
今回は大谷が手塩にかけて育てた愛弟子を迎えて、音楽への愛情、そして音楽仲間への愛情を胸に、様々なアンサンブルでお贈りいたします。出演メンバーは、小学6年生の磯部紗来、東京藝術大学4年生の上野萌華、蔭井清夏、読売日本交響楽団入団の武田桃子、東京音楽大学にて講師を務める中川直子ら5名のヴァイオリニスト、そして、神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席チェロ奏者・門脇大樹、第6回東京音楽コンクール優勝のピアニスト・冨永愛子。冒頭には、大谷康子作曲の無伴奏曲<世界初演>「Twinkle」も披露され、モシュコフスキ、ショスタコーヴィチによる2本のヴァイオリンとピアノのための曲、ヴィヴァルディの4つのヴァイオリンのための協奏曲、そして、最終曲にはミローネのカルメンファンタジーと、ヴァイオリンの魅力を堪能できるプログラムをご用意いたしました。大谷康子が育んできた愛情溢れる音楽を、皆様へお届けいたします。
出演
大谷康子(ヴァイオリン)
磯部紗来、上野萌華、蔭井清夏、武田桃子、中川直子(以上、ヴァイオリン)
門脇大樹(チェロ)
冨永愛子(ピアノ)
プログラム
第4回 <愛情>
大谷康子:Twinkle [世界初演]
モシュコフスキ:2つのヴァイオリンとピアノのための組曲 ト短調 op.71
ショスタコーヴィチ:2つのヴァイオリンとピアノのための5つの小品
ヘルメスベルガー:ロマンス op.43 No.2
ヴィヴァルディ: 「調和の霊感」op.3より
4つのヴァイオリンのための協奏曲 第10番 ロ短調 RV.580
ピアソラ:オブリビオン
サラサーテ:ナヴァラ
ミローネ:カルメンファンタジー
プロフィール
大谷康子(ヴァイオリン) Yasuko Ohtani, violin
2020年にデビュー45周年を迎える、人気・実力ともに日本を代表するヴァイオリニスト。1708年製ピエトロ・グァルネリを使用。華のあるステージ、深く温かい演奏で聴衆に感動と喜びを届けており「歌うヴァイオリン」と評される。東京藝術大学、同大学院博士課程修了。在学中よりソロ活動を始め、ウィーン、ローマ、ケルン、ベルリンなどでのリサイタル、トロント音楽祭、ザルツブルグ市などに招待され好評を得る。スロヴァキアフィル、シュトゥットガルト室内楽団など国内外の著名なオーケストラとも多数共演。また、1公演で4曲のヴァイオリンコンチェルトを1日2公演行うという前代未聞の快挙を達成し話題となった。17年はウィーンのムジークフェラインでリサイタルを開催。夏にはロシアの名門モスクワ・フィルの日本ツアーにソリストとして出演し絶賛を博した。キエフ国立フィルとは17年以降毎年招聘され、19年11月ウクライナにて3年連続の共演を予定。また、5月には実力派ピアニスト、イタマール・ゴランと全国ツアー(12都市)を開催。CDはベストセラー「椿姫ファンタジー」(SONY)のほか、ベルリンでの録音による「R.シュトラウス/ベートーヴェン・ソナタ No.5(ピアノ:イタマール・ゴラン)」(SONY)も評価が高い。その他多数リリース。BSテレビ東京(毎週土曜朝8時より放送)「おんがく交差点」では春風亭小朝と司会・演奏を務め、八面六臂の活躍をしている。18年7月、自身初の著書「ヴァイオリニスト 今日も走る!」(KADOKAWA)を発売。文化庁「芸術祭大賞」受賞。東京音楽大学教授。東京藝術大学講師。(公財)練馬区文化振興協会理事長。川崎市市民文化大使。高知県観光特使。(公財)日本交響楽振興財団理事。
磯部紗来(ヴァイオリン) Sarai Isobe, violin
2008年神奈川県生まれ。北九州市にて3歳よりヴァイオリンを始める。貞国克己氏、川口エリサ氏に師事。現在、大谷康子氏、中川直子氏に師事。第12回ヴェルデ音楽コンクール審査員特別最優秀賞受賞。第71回全日本学生音楽コンクール全国大会入選。川崎こどもフェスタ2018にてかわさきジュニアオーケストラをバックにコンチェルト演奏。川崎市立宮崎台小学校6年生。
上野萌華(ヴァイオリン) Moeka Ueno, violin
4歳よりヴァイオリンとピアノを始める。第62回全日本学生音楽コンクールヴァイオリン部門小学校の部福岡大会第1位、全国大会第2位。九州交響楽団と共演。第3回刈谷国際音楽コンクール弦楽器部門一般の部グランプリ、愛知県知事賞及び刈谷市長賞受賞。セントラル愛知交響楽団と共演。北九州と博多でリサイタルを開催。現在浦川宜也、大谷康子各氏に師事。東京藝術大学附属音楽高等学校を経て、現在東京藝術大学4年生。
蔭井清夏(ヴァイオリン) Sayaka Kagei, violin
4歳よりヴァイオリンを始め、幼少期をシンガポールで過ごす。第29回市川市新人演奏家コンクール優秀賞。2018年、19年の小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトXVI、XVIIにて、コンサートミストレスに選出される。また、所属しているジュニアフィルハーモニックオーケストラでもコンサートミストレスを務める。18年、小澤国際室内楽アカデミー奥志賀に参加。現在、大谷康子氏に師事。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京藝術大学4年在学中。
武田桃子(ヴァイオリン) Momoko Takeda, violin
東京都出身。3歳よりヴァイオリンを始める。東京藝術大学を経て、同大学院修士課程修了。全日本学生音楽コンクール高校の部東京大会、横浜国際音楽コンクール入選。ザルツブルク=モーツァルト国際室内楽コンクール優秀賞。2015年PMFアカデミーに選出され参加し、コンサートミストレスを務める。これまでに大谷康子、野口千代光、堀正文の各氏に師事。日本フィルハーモニー交響楽団を経て、現在読売日本交響楽団ヴァイオリン奏者。
中川直子(ヴァイオリン) Naoko Nakagawa, violin
第50回全日本学生音楽コンクール中学校の部福岡大会第一位。九州交響楽団と共演。第22回霧島国際音楽祭にて優秀演奏賞、特別奨励賞を受賞。第74回日本音楽コンクール入選。2012年ザルツブルク・モーツァルト国際室内楽コンクール第1位。特待生として東京音楽大学付属高等学校、東京音楽大学を経て東京音楽大学大学院修士課程修了。これまでに松村信明、篠崎永育、小林武史、大谷康子、海野義雄の各氏に師事。東京音楽大学講師。
門脇大樹(チェロ) Hiroki Kadowaki, violoncello
東京藝術大学附属高校を経て、同大学卒業。第5回ビバホールチェロコンクール第3位。第74回日本音楽コンクール第3位。ザルツブルク=モーツァルト国際室内楽コンクール第1位。東京藝術大学卒業後、ローム ミュージック ファンデーションより奨学金を得て、レッジョエミリア音楽院(イタリア)へ留学。その後オランダへ渡り、アムステルダム国立音楽院にて研鑽を積む。平成28年度エネルギア音楽賞受賞。現在東京音楽大学伴奏科、東京藝術大学非常勤講師。
冨永愛子(ピアノ) Aiko Tominaga, piano
東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業後、ドイツ国立エッセン芸術大学修士課程を首席で修了。菊地麗子、東誠三、ヘンリ・シーグフリードソン各氏に師事。2008年東京音楽コンクールで優勝し、国内主要オーケストラと共演を重ねたほか、海外の音楽祭にも招かれてリサイタルを開催。14年東京文化会館小ホールで開催したソロリサイタルでは「プリズムの光彩のように変化する音色、映像が浮かぶ表現力」と各方面から絶賛された。17年日本アコースティックレコーズからデビューアルバム「リラの花」をリリース(レコ芸準特選盤)。
[公演テーマ(全10回)]
第1回 <尊敬> 2016年
東京藝術大学に学んだころ、音楽の神様たちと向き合うところから大谷の音楽人生は始まりました。そして、その尊敬の念は今も変わらず、音楽の方向性に思い悩む時、立ち返るのが、この偉大な作曲家たち(J.S.バッハ、ベートーヴェン、ブラームス、バルトーク)の音楽です。
第2回 <敬愛> 2017年
サラサーテのツィゴイネルワイゼンを中心に、ロマの音楽やサラサーテを巡る数々の音楽家の曲を集めます。ツィゴイネルワイゼンは大谷康子が弾き込んできた、もっとも得意とする曲です。
第3回 <愛> 2018年
愛には様々な形がありますが、愛を巡るロマン派の巨匠たちの音楽を取り上げます。
クララ・シューマン、ロベルト・シューマン、ブラームス、ドヴォルザーク…
師弟愛、恋愛、友愛が織りなす人間関係は彼らロマン派の作曲家の音楽として結晶したのです。
第4回 <愛情> 2019年
教え子たちと音楽をする時間は至福の時間です。師弟とは先生と弟子の関係であり、お互いに切磋琢磨する同行の士。大谷康子の薫陶を受けた音楽家たちがその精進の末につかんだ音楽を聴衆の皆様にお聴かせします。
第5回 <情熱>
大谷康子は、実はタンゴが好きなのです。題名のない音楽会に出演しだした頃から、その才能は故黛敏郎先生や番組スタッフに絶賛されていました。大谷康子が得意とするタンゴや映画音楽の濃厚で熱い世界をご堪能いただきます。
第6回 <忘我>
大谷康子の性格をひとことで表すと「忘我」。時間を忘れ、食事を忘れ、レッスンも終わりを知らず、我を忘れて、大声を張り上げ…熱心なあまりに、やりだすと止まらない性格。ということで、聴衆の皆様にも大谷康子のレクチャーコンサートを受けていただきましょう。超有名小品と、ピアノ伴奏ではなかなか聴けないヴァイオリンコンチェルト付きで。
第7回 <好奇心>
ヴァイオリンが趣味、と言い切れる大谷康子!!でも、実は他にも夢中になれることがいろいろあります。好きなことは、美術、古典芸能、演劇鑑賞…なかでも、お菓子を食べながら、鉄道や船や飛行機に乗ることが大好きなのです。皆様をそんな好奇心溢れる音楽の旅にいざないます。
第8回 <日本>
私たちの生まれ育った国-日本。お母さんが歌ってくれた歌、故郷に伝わる童謡、民謡。そして世界へ羽ばたこうとした日本のクラシック音楽の作曲家たち。私たち日本人の音楽を、大谷康子の奏でる調べで改めて振り返ります。
第9回 <未来>
未来をつくるのはこどもたち!大谷康子がヴァイオリンを始めたのは3歳の時、今はつたなくても楽器を学ぶことで広がる世界、感じる心は育まれる。こどもの頃にスター音楽家に憧れたように、この子たちにも「音楽を通して明るい未来を!」。大谷康子が幼稚園生や小学生とも共演する、未来に飛翔する音楽会です。
第10回 <夢。音楽の力で世界をひとつに♪>
音楽の持つ力で、民族・国境を越えて、世界中を仲良く、ひとつにし、明るい未来を創ろうという感動のフィナーレです。
企画構成協力:伊藤裕太