【朝日カルチャーセンター新宿教室との提携講座】

原田英代 レクチャー

楽曲とどのように向き合うか ~ロシア帝政時代のピアニストの教えから

会場:朝日カルチャーセンター新宿教室
原田英代 レクチャー
原田英代        (c)Uwe Arens 

ロシアの巨匠ヴィクトル・メルジャーノフの愛弟子として学び、ロシア・ピアニズムを継承する数少ない日本人ピアニストである原田英代。これまでも、マスタークラスやレクチャーを通して、奏法による弦の震え方・音の響き方の違いや、ロシア文学者の亀山郁夫先生を招いてのロシア文化レクチャーなど、多角的にロシア・ピアニズムをご紹介してきました。第4回となる今回は、原田自身によるトークとともに、映像資料を駆使しながら、ロシア・ピアニズムの真髄に迫ります。
今回は、朝日カルチャーセンター新宿教室との提携講座として開催いたします。

出演

[講師] 
原田英代(ピアノ)

プログラム

■楽曲とどのように向き合うか ~ロシア帝政時代のピアニストの教えから

  1. ベートーヴェンのピアノ・ソナタにみるソナタ形式の変遷について 
    「ベートーヴェンの初期と後期の作品を比べると別人物の作品のようだ」とラフマニノフが語ったように、ベートーヴェンの作風は大きく変化していきました。彼を捉えた想念(イデー)が作品の構造を決定し、ソナタ形式はそれに合わせて形を変えていったのです。形式と精神的内容
  2. ドイツ音楽とロシア音楽の独自性 
    ドイツ音楽とロシア音楽の特徴を知るには、音楽のみならずそれぞれの国の文化を知ることは不可欠でしょう。動画を交えながらそれぞれの独自性に迫ります。
  3. チャイコフスキーとラフマニノフ 
    チャイコフスキーとラフマニノフはロシア的といえる作品を遺していますが、彼らの音楽には微妙な違いがあり、この違いこそ作品の醍醐味と言えるものです。19世紀の伝統を受け継ぐ人々の証言や動画と共に、この謎を探ります。
  4. 重量奏法について 
    今ではかなり知られるようになった「重量奏法」という言葉ですが、習得するのは至難の業です。帝政ロシア時代の伝統を受け継いだピアニストの演奏スタイルについて、実際に演奏している姿を見、音を聴きながら、お話しします。

プロフィール

原田英代(ピアノ) Hideyo Harada, piano

井口愛子、弘中孝の各氏に師事し、東京藝術大学および同大学院にて松浦豊明氏に師事。その後渡欧し、シュトゥットガルト国立音楽大学とウィーン国立音楽大学で学び、モスクワ音楽院のヴィクトール・メルジャーノフ教授の下で研鑚を積む。1984年ジュネーヴ国際コンクール最高位、91年シューベルト国際ピアノ・コンクール第1位、93年モスクワにおける第1回ラフマニノフ国際ピアノ・コンクールで旧西側参加者の中で唯一入賞を果たす。これまでに、NHK響、読売日響、日本フィル、新日本フィル、広島響、スイス・ロマンド管、WDRケルン放響、南西ドイツ・フィル、ジョルジュ・エネスコ・フィル、チェコ・ナショナル響など、世界各地のオーケストラと共演し、マルチェロ・ヴィオッティ、クリスティアン・アルミンク、ウラディーミル・ヴァーレック、尾高忠明、小泉和裕、円光寺雅彦、本名徹二などの指揮者と共演。また室内楽では、ボロディン弦楽四重奏団、堀正文、ラティツァ・ホンダ=ローゼンベルク、ミハイル・シモニアン(ヴァイオリン)、イェンス=ペーター・マインツ(チェロ)、ローマン・トレーケル(バリトン)等と共演している。また、ラインガウ、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン、ベートーヴェン、ルートヴィクスブルク、メクレンブルク・フォアポンメルン等、ドイツの主要音楽祭に定期的に出演するほか、ドイツを代表する俳優たちとの朗読付きコンサートを開催。特に大女優コリンナ・ハールフォーフとの共演は「強力なデュオ」と讃えられ、ヨーロッパの各地で高い評価を獲得している。2003年より〈シューベルト・チクルス(全10回)〉を、12年には〈連続演奏会『作曲家の絆』〉を開催。ピアノ独奏、室内楽、歌曲などの幅広いジャンルの作品を網羅したプログラムを展開し、朝日新聞において、ボロディン弦楽四重奏団との公演で「とてつもないピアニスト」と称され絶賛された。録音はアウディーテ・レーベルより、「グリーグ : 抒情小曲集より」、「チャイコフスキー : 『四季』、ラフマニノフ : コレルリの主題による変奏曲」、「シューマン : 幻想曲 ハ長調/クライスレリアーナ/アラベスク」、「シューベルト : さすらい人幻想曲/ピアノ・ソナタ 第21番」、フォンテックより「プレイズ・ショパン&スクリャービン」、ディヴォックスより「シューベルト/リスト/J.S.バッハ/フェインベルク/間宮芳生 : ピアノ作品集」等、CDを多数リリース。イギリスの『グラモフォン』誌で推薦盤、ドイツの『フォノ・フォールム』誌で〈今月の星〉、日本の『レコード芸術』誌で特選盤に選ばれるなど、世界各国のクラシック音楽雑誌や新聞各紙でも高い評価を獲得している。12年には、明治神宮にて行われた明治天皇百年祭にて奉納演奏を行い、大きな話題となった。99年中国電力協賛第5回エネルギア音楽賞、01年山口県芸術文化振興奨励賞、19年令和元年度山口県文化功労賞受賞。01~05年、秋吉台音楽ゼミナールの音楽監督を務めた。近年は国際コンクールの審査員を務めるほか、ドイツとギリシャでマスタークラスを定期的に開催している。執筆活動も展開させ、14年、『ロシア・ピアニズムの贈り物』を出版したほか、平凡社『こころ』にも寄稿しており、その深い知見には定評がある。ロシア・ピアニズムの継承者としてレクチャーコンサートにも精力的に取り組んでおり、幅広い見識と身体論を交えた独自の音楽論を展開し高評を得る。

原田英代
© Uwe Arens

主催:朝日カルチャーセンター新宿教室
協力:Hakuju Hall/株式会社 白寿生科学研究所