【朝日カルチャーセンター新宿教室との提携講座】

原田英代 レクチャー

「時代精神の影響を受けて ―シューベルトのソナタ形式とロシアの世紀末」

会場:朝日カルチャーセンター新宿教室
原田英代 レクチャー
原田英代 (c)Uwe Arens 

ロシアの巨匠ヴィクトル・メルジャーノフの愛弟子として学び、ロシア・ピアニズムを継承する数少ない日本人ピアニストである原田英代。これまでも、マスタークラスやレクチャーを通して、奏法による弦の震え方・音の響き方の違いや、ロシア文学者の亀山郁夫先生を招いてのロシア文化レクチャーなど、多角的にロシア・ピアニズムをご紹介してきました。シリーズ最終回は、原田自身によるトークとともに映像資料を駆使しながら、「ベートーヴェンの後で何ができるか(仮)」をテーマにシューベルト、スクリャービン、ラフマニノフについて取り上げます。

本講座は、朝日カルチャーセンター新宿教室との提携講座として開催いたします。

出演

[講師] 
原田英代(ピアノ)

プログラム

「時代精神の影響を受けて ―シューベルトのソナタ形式とロシアの世紀末」

1)「ベートーヴェンの後で何ができるか」というシューベルトの言葉は、明らかにベートーヴェンのソナタ形式を意識してのものでした。ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンによって確立されていったソナタ形式は、ウィーン生まれのシューベルトにとっても当然マスターしなければならないものでしたが、もともとリート作曲家である彼にとって、独自のソナタ形式を見出だすのは楽なことではありませんでした。数々の未完のピアノ・ソナタがそれを物語っています。階級の対立から市民の時代に移行しようとしていたウィーンで、彼は暗中模索を繰り返しながら、ついには自分のソナタ形式を生み出します。その様子を、時代の背景とともに探ります。

2)スクリャービンとラフマニノフは、少年期より名伯楽ズヴェーレフのもとでピアノを学んだ同僚でした。またモスクワ音楽院では両人ともアレンスキーのもとで学びロシアの香りの濃い抒情性に満ちた作品を書いていたにもかかわらず、やがて二人は全く違う音楽家に成長していきます。時代は世紀末に生を受けた二人が、不穏な時代にあって、どのように異なった道を見つけていったか探ります。

プロフィール

原田英代(ピアノ) Hideyo Harada, piano

東京藝大、同大学院を経て渡欧し、メルジャーノフに師事。ジュネーヴ国際コンクール最高位、シューベルト国際コンクール優勝、ラフマニノフ国際コンクール入賞。ケルン放響、スイス・ロマンド管、南西ドイツ・フィル、N響、読響等と共演。ラインガウ、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン、ヴュルツブルク・モーツァルト等の主要音楽祭に定期的に出演。2012年明治天皇百年祭での奉納演奏が話題となる。アウディーテよりCD4枚をリリース。著書『ロシア・ピアニズムの贈り物』(みすず書房)や、『こころ』(平凡社)への寄稿等の執筆活動、ロシア・ピアニズムの継承者としてレクチャーコンサート等にも精力的に取り組んでいる。ベルリン在住。

原田英代
©  Uwe Arens

主催:朝日カルチャーセンター新宿教室
協力:Hakuju Hall/株式会社 白寿生科学研究所