アーティストインタビュー

クラシックギターの魅力を伝えたい

村治奏一
室内楽やオーケストラとの共演、メディア出演など、多彩な才能でマルチに活躍するギタリスト、村治奏一さん。 「第18回Hakujuギター・フェスタ2024」への意気込みなどを語っていただきました。

ギター・フェスタも18回目になりますが、今回、初めて村治さんにご出演いただけるとのことで、楽しみです。

村治

荘村清志先生や福田進一先生、エドゥアルド・フェルナンデスさんなどの中に呼んでいただきまして、とても嬉しいです。

ギターフェスタは4回にわけて行われますが、今回のテーマは「ラテンアメリカ」ということで、作曲家・ポンセのギター・ソナタを、それぞれの出演者の方に弾いていただき、通しで全曲を聴くことができます。

村治

昔、北アメリカと南アメリカをテーマにしたCDを出したことがありましたが、それ以来、南アメリカのプログラムはあまり弾いていなかったので、自分にとっての原点回帰になりそうです。ポンセほどギターのためにたくさんの組曲を書いた作曲家はいませんが、ポンセのソナタを全部聴ける機会はめったにないので、楽しみです。1曲だけショパンのノクターンをプログラムに入れましたが、これはブラジルのギタリスト、アルメイダが編曲したものでショパンに影響を受けたギタリスト、バリオスの作品と並べて演奏してみたいと思っています。

アンコールでは、荘村さんとのデュオをされるのですね。

村治

荘村さんとはカルテットではご一緒していますが、デュオは初めてなので楽しみです。

新しい経験ですね! 最近はどんなレパートリーに挑戦されているのですか?

村治

映画音楽や、他の楽器のために書かれた名作をアレンジして弾いたりすることが多いですね。

たくさんの曲に挑戦されていますが、一度弾いた曲は覚えているものですか?

村治

指の記憶だけだと忘れてしまうのですが、脳にもしっかり記憶させておくと、数年たっても割とすぐに思い出せたりします。ただ、今回の南アメリカものは約20年前に弾いた曲なので、さすがに最初からおさらいします。実は、今回のプログラムにも予定している「ラメントス・ド・モロ」という曲は、若くして亡くなったラフェエル・カベラというギタリストが超絶技巧で弾いていて、当時、それを必死で耳コピしてレコーディングしたこともありました(笑)。
 僕自身、あの頃と比べて曲への向き合い方がだいぶ変わってきたので、今の状態で、この曲を弾くとどうなるか、確かめてみたいですね。

それは楽しみですね。最近、チャットGPTを利用した「AI村治奏一」を使って、ネット上でファンとの交流を増やしますが、それも、新たな挑戦ですね。

村治

そうですね。サイン会などでよくお客様から「今日使ったギターはなんですか?」「爪の形を見せてください」など似たような質問をされることが多いので、それなら質問に対して全部AIに答えてもらおうと思い始めたのがきっかけです。僕の分身であるAI村治奏一がその場ですぐに返事をするので、皆さんの質問をするハードルが低くなると思うのです。あとでその受け答えは確認しているので、もし間違いがあれば、その都度私がAIに学習させています。「暗譜のコツを教えてください」「中級者のおすすめのギター曲を教えてください」などマニアックな質問への答えもAIに代行させることで、24時間質問を受け付けることができるようになり、ファンのみなさんと気軽に交流できる場ができました。

面白い試みですね。最後に、ギター・フェスタにいらっしゃるお客様にメッセージをお願いします。

村治

クラシックギターはその繊細な音色が特徴的ですが、ギター1本でメロディーから伴奏までカバーできるので、いろいろなアレンジを楽しみながら、魅力を感じてみていただけたら嬉しいです。

ありがとうございます。当日楽しみにしています。

私の健康の秘訣

クラシックギターは、基本座って演奏しますが、長時間座って過ごしていると、筋肉の代謝や血行が低下して健康によくないので、最近、電動昇降デスクを導入しました。ボタンひとつで、数ミリ単位で自分が設定した高さに変えられる机です。ギターにもストラップを付けるためのピンを取り付け、自由に位置を変えられるようにし、その日の状態に合わせて立ったり、座ったりして練習しています。集中力がなくなってきたら立って練習したり、日によっては、数時間立ちっぱなしで練習して疲れたら座ってデスクワークをしたりなど。姿勢を変えて体の負担を減らしながら気分転換できるので、心身の健康に一石二鳥です。

※株式会社白寿生科学研究所ユーザー情報誌「ヘルシーメイツ」2024年春号から転載