アーティストインタビュー

音楽の力で世の中を平和に

大谷康子
日本を代表するヴァイオリニストの一人、大谷康子さん。Hakuju Hallにて、デビュー50周年記念リサイタル開催にあたり、今年創業100周年を迎えた白寿生科学研究所の原浩之社長と、音楽への想いについて語り合いました。

今年は大谷さんのデビュー50周年と弊社の創業100周年が重なり、ご縁を感じています。弊社では、皆様が健康で充実した人生を過ごすためにさまざまな取り組みをおこなっており、その一環として、上質な音楽をお届けしていますが、大谷さんが継続されている原動力はなんでしょうか?

大谷

8歳の時に、アメリカの国連で演奏する機会をいただいたのですが、子どもの演奏にもかかわらず、大人たちが総立ちして拍手をしてくれたり、頭を撫でてくれたりしました。その時に、こんなにも人に喜びを与えることができたことに感動し、音楽でみんなが幸せになったらいいな、という想いで演奏を続けてきました。

そういえば、以前、大谷さんとお食事をご一緒させていただいた時、隣の席の方が誕生日のお祝いをしていたら、いきなりヴァイオリンを取り出して「ハッピーバースデー トゥーユー」の曲を弾き始めたことがありましたよね。大御所のヴァイオリニストにもかかわらず、人を喜ばせたいという大谷さんの生き方に感銘しました。

大谷

覚えていてくださったんですね。私は学生の頃から、病院や施設、学校、赤ちゃん連れのお母さんたちの集会など、さまざまな場所で演奏してきましたが、音楽を聞くことで勇気を持ってもらえたり、みんなが仲良くできたりしたら、こんな幸せなことはない、と思って活動しています。
 2001年、9.11のテロの時、演奏会でイスタンブールにいましたが、本当は中止になるところを、こんな時だからこそみんなが音楽で仲良くしよう、という主催者のご判断によって演奏会を開催できた時は、友好の素晴らしさを深く感じました。今も戦争はなくならないし、音楽で争いが簡単になくなるとは思っていませんが、それでも音楽を届けることは平和につながるのかもしれない、と思っています。

音楽は世界共通語ですね。政治的には難しいことも文化の力で変えていくことはできるかもしれませんね。
そして、デビュー50周年を記念して、全国で14公演行うツアーの一つに、ハクジュホールを選んでいただき光栄です。

大谷

これほど繊細な響きを出せて迫力も届けられるホールはなかなかありません。リサイタルで共演する世界的なピアニスト、イタマール・ゴラン氏も以前こちらで演奏したことがあり、とても好きなホールだとおっしゃっていました。また、今回演奏するブラームスの曲には、内に秘めた激しいほどの情熱がありますが、そうした深い陰影まで響かせられるホールは、ハクジュホールしかないと思いました。演奏は、ストラデヴァバリウスで臨みたいと思います。

それは楽しみです。大谷さんには、主催公演「大谷康子のヴァイオリン賛歌」や「白寿こどもヴァイオリンコンクール」の審査員、またテレビ番組「おんがく交差点」の収録など、継続してハクジュホールを活用していただいている他、ソロ活動、大学の教授など、ご多忙でいらっしゃいますが、50周年という節目を越えて今後どんなビジョンを持っておられますか?

大谷

小説家の井上ひさしさんの言葉に「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」とあり、私もすべてがこのようにありたいと思っています。音楽というと難しく感じる方もいらっしゃいますが、音を通じて、勇気、平和、安心などのメッセージを感じてもらえるように、これからも頑張りたいと思います。

50周年、100周年の節目を機に、お互い目標を持って進んでいきたいですね。ありがとうございました。

私の健康の秘訣

落語が好きで、以前は時間が空くと寄席に行って思い切り笑ったりして気分転換していましたが、今は時間がなくて、特に何もしていません。でも、私にとっての健康法は、やっぱり「ヴァイオリンを弾くこと」だと思っています。
もちろん練習も好きですが、やっぱりお客様の前で弾くのが最高の時間です。演奏会が始まる前に、席が埋まっている様子を見ると「よし、やるぞ!」という気持ちになり、それが何よりもの元気の素になっているのだと思います。とにかく、ヴァイオリンを弾いていれば幸せ。それが健康につながっていると感じています。

※株式会社白寿生科学研究所ユーザー情報誌「ヘルシーメイツ」2025年春号から転載