アーティストインタビュー

すべての復興が終わるまでチャリティ活動を続けたい

小林美恵(ヴァイオリニスト)
2015年3月11日 東日本大震災チャリティコンサート出演
国内外で活躍する日本を代表するヴァイオリニスト、小林美恵さん。2011年の大震災から丸4年となる3月11日開催の「東日本大震災チャリティコンサート」に出演されるにあたり、被災地への想いなどを伺いました。 (聞き手:Hakuju Hall支配人 原浩之)

大震災直後の4月に開催し、昨年からは毎年3月11日に開催されることになりましたが、第1回目の時に小林さんがお客様に向かって話されたことが、とても印象に残っています。

小林

私、なんて言いましたか?(笑)

「東京に住む私たちは直接被災していなくても、目に見えないストレスを感じて、とても疲れているのではないでしょうか?そんな方たちに、音楽でお役に立てれば嬉しいです」と。

小林

そう、思い出しました。当時は、震災が発生したばかりで、まだ被災地に行けなかった時です。だから、周辺の東京に住む人たちから心の復興をしていって、日本を元気にしなければと思ったんです。でも、こういう活動はその時だけではなくて、すべての復興が終わるま で続けなくてはと思うようになりました。

私たちも同じような想いで、被災地の方にヘルストロンを貸し出すなどの支援をしてきました。そんな中、津波で町の大半が消滅した岩手県大槌町に「子ども夢ハウスおおつち」を建設し、被災地の子どもたちを支えたいという作業療法士の藤原茂先生の志を知りました。目に見える具体的な支援をされている藤原先生に共感し、チャリティコンサートで集まった募金は、「子ども夢ハウスおおつち」に寄付させていただいています。

小林

素晴らしい活動だと思います。私自身、大槌町には一度も行ったことがなかったので、今年の8月にメゾソプラノの林美智子さんと、ピアニストの石野真穂さんと一緒に、原さんに連れていっていただき、貴重な経験になりました。

大槌町の市民会館の講堂でコンサートをされていかがでしたか?

小林

カルメンのオペラの他、「ふるさと」「花は咲く」を歌ったり、演奏させていただいたりしましたが、音楽を通して触れ合うことで、皆さんの表情が柔らかくなられた気がしました。音楽には人の心を和ませる力があるのかもしれませんね。

本当にそうですね。実際、現地に行くと、津波から身を守るための盛り土がまだまだ手つかずの状態ですし、仮設住宅で暮らしている人も多く、さまざまなご苦労を抱えていらっしゃると思います。

小林

音楽が必要になってくるのは、いろいろなことが落ち着いたこれからだと思います。被災地を目の当たりにしないと、被災地への意識が薄れがちですが、それではいけないと思います。被災地への想いを忘れないためにも、私たちもできる限り、チャリティコンサートを続けていきたい気持ちでいっぱいです。

2015年もまた、温かい輪が生まれることを祈っています。ありがとうございました。

※株式会社白寿生科学研究所ユーザー情報誌「ヘルシーメイツ」2014年冬号から転載