アーティストインタビュー
たまご世代が立派な鳥に成長する姿を見届けてほしい
長谷川陽子(チェリスト)
チェロ・コレクション~バッハへのオマージュ~ (全6回) 出演
今秋から白寿ホールでスタートする、未来志向の新シリーズ「チェロ・コレクション」。11月11日に開催される記念すべき第一回目に際し、本企画のプロデューサーでもある、日本を代表するチェロ奏者、長谷川陽子さんにお話を伺いました。
(聞き手:Hakuju Hall 支配人原浩之)
今回は、長谷川さんと一緒に「チェロ・コレクション」(以下、チェロ・コレ)を実現できる運びになり、楽しみです。
長谷川
ありがとうございます。チェロ・コレでは何世紀にもわたって愛され続けてきたバッハの「無伴奏チェロ組曲」を演奏することを軸に、いわば「たまご」世代の実力派チェロ奏者たちとのアンサンブルで、新しい角度からチェロの魅力を探ってもらえたらと考えています。
この企画が成立したのは、たしか2013年の年末でした。白寿ホールも昨年10年目の節目を迎え、室内楽を強化していこうと考えていたとき、チェロ奏者同士が世代を超えて一堂に会する機会はそれほど多くないということをお聞きし、私たちのホールが演奏家たちのプラットフォームとなり、世代を超えたつながりを作っていけたらと思いました。
長谷川
それは演奏家にとって、とてもありがたいことです。 今、私は桐朋学園大学と付属高校で講師をしていますが、最近感じるのは、チェロの層がとても厚くなっていること。これは、私がチェリストだからいうのではなく、客観的に見て、今が旬な楽器だと感じます。 実際、チェロを専攻する学生が増えていて、レベルも高い。昔は音程がとれれば天才だったのですが(笑)。これからどんどん発展していく楽器だと思うので、そういった流れも、チェロ・コレを通して見届けてもらえればと思います。
チェロ奏者の向山佳絵子さんと一緒にプロデュースされるとのことですが、共演されたことはあるのですか?
長谷川
約10年前に2度ほど共演させていただいたことがあります。彼女は同年代だけど、私とは違うタイプの素晴らしい芸術家です。彼女と共演することで、何が起きるかわからない化学反応も楽しみにしていただけたらと思います。
知名度のある2人が共演し、後輩たちにチェロをつなげていくというメッセージは強いインパクトがあります。
長谷川
私もこれからの若手たちを一生懸命にキャッチアップして、ご紹介したいと思います。今回一緒に演奏する横坂源さんはすでに若手スターの1人で、笹沼樹さんは学習院大学の文学部ドイツ語学科に在籍しながら、桐朋学園大学ソリストディプロマコースに通う、大学1年生です。学生音楽コンクールでも1位をとるなど、これからが楽しみの方です。こうした未知の可能性を持っている若い世代の方たちと接すると、私自身が触発されて逆にいい影響をいただけます。
移り変わる世の中で、クラシックの魅力を伝えるため、これからも一緒に新しいものを創造していけたら嬉しいです。
長谷川
私のチェロ・コレがその第一歩となり、お客様との絆づくりや新しい出会いの場となることを期待しています。
※株式会社白寿生科学研究所 ユーザー情報誌「ヘルシーメイツ」2014年夏号から転載