原支配人による公演レビュー

2023年02月07日 (火)
【原支配人による公演レビュー】
2023年1月10日(火) 第169回 リクライニング・コンサート 石上真由子&中恵菜&佐藤晴真

ハクジュホールは2023年10月に20周年を迎えます。2月から3月まで行う修繕工事を当初は5月まで予定していたため主催公演を入れておらず、6月からは20周年記念公演も加わるため、定番のリクライニング・コンサートとサロン・コンサートはしばらくお休みになります。
今年最初で最後のリクライニング・コンサートはヴァイオリンの石上真由子さん、ヴィオラの中恵菜さん、チェロの佐藤晴真さんという若手実力派の3名による弦楽三重奏でした。石上さんと中さんから、弦楽三重奏曲には名曲が多いのに演奏機会が少ないと聞きました。チケット販売の難しさもあり演奏機会が少ないのは間違いないのですが、弦楽三重奏をどこかが取り上げないといけないという問題意識がありました。実は石上さん、中さんと佐藤さんは今回が初対面でしたが、3人で練習していただく機会を設けたところ相性が非常に良く、この公演の開催が決まりました。
弦楽四重奏はファーストヴァイオリンが主旋律、セカンドヴァイオリンが刻み、ヴィオラがファーストヴァイオリンと対になるというように、役割が割と決まっています。弦楽三重奏はセカンドヴァイオリンがおらず、役割が明確でないのが特徴で、全員が主役にもなり脇役にもなるところに自由や可能性があると思っています。演奏機会があればファンを増やせるのではと、まずは1時間のリクライニング・コンサートに挑戦しました。お越しいただいたお客様に弦楽三重奏の特徴を知ってもらおうというコンセプトで、ベートーヴェンを軸に様々な作曲家による弦楽三重奏曲の楽章を抜粋し、北欧や東欧の民族舞踊をモチーフにしたような曲や色々な奏法を披露するコンサートでした。多くのお客様にお越しいただき、最後には石上さんから「気に入ってくださいましたらまた!」というお話があり、お客様も喜んで下さったことと思います。このトリオでまた開催出来るように頑張ります。
トッパンホールさんでは毎年8月にヴァイオリンの毛利文香さん、ヴィオラの田原綾子さん、チェロの笹沼樹さんによるトリオが行われています。ハクジュもトッパンホールさんの後を追いかけて、弦楽三重奏の貴重な演奏機会を増やし認知度を上げていけたらと思っております。

2023年1月10日(火) 第169回 リクライニング・コンサート 石上真由子&中恵菜&佐藤晴真 15:00/19:30開演
[出演]
石上真由子(ヴァイオリン) 中恵菜(ヴィオラ) 佐藤晴真(チェロ)

[プログラム]
シューベルト:弦楽三重奏曲 第2番 変ロ長調 D.581 より 第1楽章
ベートーヴェン:セレナード ニ長調 op.8 より 第2楽章
コダーイ:弦楽三重奏曲のための間奏曲
フランセ:弦楽三重奏曲 より 第3楽章
ベートーヴェン:弦楽三重奏曲 ニ長調 op.9-2 より 第2楽章
ボッケリーニ:弦楽三重奏曲 イ長調 op.14-3 より 第3楽章
シベリウス:組曲 イ長調 より 第1楽章
ドホナーニ:セレナード ハ長調 op.10 より 第4楽章
エネスコ:オーバード
ベートーヴェン:弦楽三重奏曲 ト長調 op.9-1 より 第1楽章

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