原支配人による公演レビュー
【原支配人による公演レビュー】
2023年6月23日(金) ~N響メンバーによる室内楽シリーズ~ N響チェンバー・ソロイスツ 第5回 木管2番奏者による特殊管の世界
6月23日、1月以来5ヶ月ぶりに主催公演を開催しました。N響メンバーによる室内楽シリーズです。本来は2月~5月にホールの大規模な修繕工事を予定していましたが、昨今の世界情勢の影響により資材の調達が困難となったため修繕内容の見直しをしました。修繕期間は2月~3月となり、工事を予定していた4月~5月は準備期間とし、主催公演は6月から開催となりました。
今回は、NHK交響楽団フルート奏者の梶川真歩さんにテーマを決めていただきました。木管2番奏者(ホルンは下吹きの2番・4番奏者)ならではの特殊管の音色に焦点を当て、ヤナーチェクの木管六重奏曲をメインに、ソロ・二重奏・五重奏でバロックから現代までの作品を演奏するという珍しいコンサートになりました。登場した楽器は、ピッコロ、アルトフルート、フルート、コールアングレ、オーボエ、エスクラリネット、A管クラリネット、B管クラリネット、バスクラリネット、コントラファゴット、ファゴット、ワーグナーチューバ、ホルン!ハクジュホールの20年の歴史の中でコールアングレとコントラファゴットの音色が奏でられるのはおそらく初めてではないかと思います。
前半はモーツァルトのフルート二重奏曲をピッコロとエスクラリネットで演奏するという試みから始まり、A管クラリネット、アルトフルート、バスクラリネットのソロに続きました。ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」より 第4曲 “ビドロ (牛車)”ではワーグナーチューバが登場し、ラヴェルの「マ・メール・ロワ」より 第4曲 “美女と野獣の対話”ではクラリネットが美女のように、そしてコントラファゴットが野獣のように、対話形式でハーモニーが奏でられる素晴らしいアレンジでした。お客様も、美女と野獣が寄り添っていくイメージが湧いたのではないでしょうか。後半はドヴォルザークの交響曲 第9番 「新世界より」 第2楽章の、日本では「家路」としても親しまれている旋律をコールアングレが奏で、ヤナーチェクによる木管六重奏曲「青春」で締めくくられました。
休憩後には出演者が舞台上で全ての楽器を持っての特殊管撮影タイムがあり、珍しい楽器と面白い試みに多くのお客様が撮影されていました。舞台転換中のトークでは特殊管の説明があり、興味深くお聞きになった方も多かったのではと思います。終演後は大喝采で、梶川さんもアイディアを出し切って最高の公演が出来たと喜んでいらっしゃいました。お客様と出演者の満足度が高い公演になり、ホールとしても嬉しい1日となりました。本公演より、ハクジュホール開館20周年のシーズンが始まりました。どうぞよろしくお願いいたします。
2023年6月23日(金) ~N響メンバーによる室内楽シリーズ~ N響チェンバー・ソロイスツ 第5回 木管2番奏者による特殊管の世界 19:00開演
[出演]
梶川真歩(ピッコロ、アルトフルート、フルート)
池田昭子(コールアングレ、オーボエ)
松本健司(エスクラリネット、クラリネット)
山根孝司(バスクラリネット)
佐藤由起(コントラファゴット、ファゴット)
野見山和子(ワーグナーチューバ、ホルン)
[プログラム]
W.A.モーツァルト:6つの二重奏曲 第1番 ト長調 KV380 より <ピッコロ、エスクラリネット>
B.コヴァーチ:J.S.バッハへのオマージュ <A管クラリネット>
J.S.バッハ:無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV 1013 より <アルトフルート>
G.アペルギス:バスクラリネットのためのシミュラークル Ⅳ op.117 (1995) <バスクラリネット>
M.ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」より 第4曲 “ビドロ (牛車)” <フルート、コールアングレ、クラリネット、バスクラリネット、コントラファゴット、ワーグナーチューバ>
M.ラヴェル:「マ・メール・ロワ」より 第4曲 “美女と野獣の対話” <フルート、オーボエ、クラリネット、バスクラリネット、コントラファゴット、ホルン>
A.ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 op.95 「新世界より」 第2楽章 ラルゴ <フルート、コールアングレ、クラリネット、ファゴット、ホルン>
L.ヤナーチェク:組曲「青春」 <フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット、バスクラリネット>
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