原支配人による公演レビュー

2021年12月17日 (金)
【原支配人による公演レビュー】
2021年11月26日(金) 第162回 リクライニング・コンサート 久末航 ピアノ・リサイタル 19:30公演

久末さんの演奏は2年前に銀座にありますシャネル・ネクサス・ホールの「シャネル・ピグマリオン・デイズ」の選出アーティストとして初めて聴かせて頂きました。素晴らしい腕の持ち主だと感じ、たいへん印象深かったです。当時シャネル関係者とお話しした際に、久末さんは滋賀県出身で大学からベルリンに行ってしまったので東京にコネクションがなく、コンサートを東京で開催しにくいというお話を伺いました。コンサートを聴いて頂かないと久末さんの素晴らしさは分からないと考え、思い切って久末さんにオファーを出したのが一昨年でしたが、コロナで1年延期になりました。そして、実は今年2月の「リクライニング・コンサート」でヴァイオリンの黒川侑さんにオファーしたとき、久末さんの腕は同世代では知れ渡っているようで、デュオのピアノを久末さんにお願いしたいという話になり、延期になったことでソロより先に「リクライニング・コンサート」に登場、珍しいことですが年に2回のご出演となりました。
公演当日、私は残念ながら前の用事が滞り、ショパン「即興曲 第1番」は途中からホールホワイエのモニターで聴くことになりましたが、2曲目のシマノフスキから客席で聴くことが出来ました。ショパンとシマノフスキを交互に演奏、そして最後はシューマンと、一気に5曲演奏されました。ハクジュホールは弾き手のタッチがかなり特徴的に出るホールだと思いますが、久末さんの場合は打鍵強タイプでも繊細タイプでもなく、流暢な、流れるようなタッチが凄く素敵でした。
今コロナ禍でドイツベルリンの大学院に在学中ですが、まだ日本に主軸を置く予定はないと伺いました。彼の将来が楽しみです。注目していきたいと思います。

第162回 リクライニング・コンサート 久末航 ピアノ・リサイタル
2021年11月26日(金) 15:00開演/19:30開演
[出演]
久末航(ピアノ)

[プログラム]
ショパン:即興曲 第1番 変イ長調 op.29
シマノフスキ:「メトープ」 op.29 より 第1番 “セイレーンの島”
ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 op.60
シマノフスキ:「メトープ」 op.29 より 第3番 “ナウシカア”
シューマン:ピアノ・ソナタ 第1番 嬰ヘ短調 op.11

[アンコール]
ショパン:ノクターン 第3番 ロ長調 op.9-3