原支配人による公演レビュー

2023年10月25日 (水)

【原支配人による公演レビュー】

2023年9月23日(土・祝) Hakujuの歌曲 #3 望月哲也 テノール ~ホルンと共に

オペラ歌手が歌曲を取り上げるシリーズ「Hakujuの歌曲」。2020年にメゾ・ソプラノの小山由美さんによる第1回を開催予定でしたがコロナ禍で延期となったため、2021年5月にテノールの望月哲也さんが第1回を行うことになりました。しかし公演の数日前に政府より発出された緊急事態宣言により、コンサートは無観客配信のみと定められたため、またもや延期。予定調整の末に第1回は小山さんのオール・ブラームス、第2回はソプラノの砂川涼子さんの日本歌曲となり、望月さんの公演は第3回として当初の予定より2年半ほど先の開催となりました。ちなみに本公演で、緊急事態宣言等による延期公演がようやく全て終了いたしました。
さて、2017年~2019年に望月さんがギター伴奏でシューベルト三大歌曲を歌うシリーズを行っていた頃、ホルンを交えてブリテンの「セレナード」を歌いたいというお話が、当方の「Hakujuの歌曲」シリーズを立ち上げたいという話と重なり、おそらく5年近い歳月を経て今回実現いたしました。共演は、声楽のピアノ伴奏の第一人者である河原忠之さんと、東京フィルハーモニー交響楽団の首席ホルン奏者の髙橋臣宜さんという盤石の布陣です。メインプログラムはブリテンとベートーヴェンでしたが、望月さんの意向で前半はホルンを交えたシューベルトの「流れの上で」と、お客様にリラックスしてもらおうという事で日本の歌曲を歌っていただきました。「朧月夜」は望月さんと河原さんが所属するユニット・IL DEVUで録音した曲でもあり、思い出深く泣きそうになったという声もありました。様々な言語の歌曲が取り上げられ、後半に進むにつれて望月さんの集中力がどんどん上がって行き、「セレナード」では髙橋さんの超絶技巧が加わってお客様も相当引き込まれたことと思います。終曲のエピローグでは、髙橋さんが舞台ではなくホワイエで姿を見せずにホルンを演奏するという離れ業がありました。おそらく当ホール史上初の演出も素晴らしく、お客様の満足度も高いコンサートになったと思います。

2023年9月23日(土・祝) Hakujuの歌曲 #3 望月哲也 テノール ~ホルンと共に 15:00開演

[出演]
望月哲也(テノール)
河原忠之(ピアノ) 髙橋臣宜(ホルン)

[プログラム]
F.シューベルト:流れの上で D.943
中山晋平(詞:吉井勇):ゴンドラの唄
山田耕筰(詞:北原白秋):城ヶ島の雨
岡野貞一(詞:高野辰之):朧月夜
多忠亮(詞:竹久夢二):宵待草
B.ブリテン:ミケランジェロの7つのソネット op.22
L.v.ベートーヴェン:遥かなる恋人に寄す op.98
B.ブリテン:セレナード op.31

<アンコール>
F.シューベルト: 春に D.882 


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