原支配人による公演レビュー

2024年08月27日 (火)

【原支配人による公演レビュー】
2024年8月1日(木) The 4 Players Tokyo 第4回

「The 4 Players Tokyo」ハクジュホール第4回の公演が行われました。マエストロ藤岡幸夫が指揮、司会として出演する音楽番組、BSテレ東「エンター・ザ・ミュージック」から生まれたこの四重奏団はもう結成から5年を迎えるのですね。マエストロの「弦楽四重奏はどの作曲家も本気で臨んで作っている。そして弦楽四重奏は交響曲の最大公約数なんだ。だから弦楽四重奏をもっとメジャーにしないといけない。」というお言葉に共感して始めたこの企画。昨年の第3回は、マイナーなプログラムだと言われるシベリウスの「弦楽四重奏曲」でもチケットは完売になり、また当ホール以外に杉並公会堂の大ホールでも演奏会を行っていますが、そちらでも盛況だったとのことです。マエストロがプロデュースするこの四重奏団は、全国展開の番組でますます知名度をあげ、地方からのオファーも増え、今日本で最も人気のある四重奏団と言っても過言ではありません。
種明かしですが、マエストロから「番組でプロデュースする凄いカルテットが出来たんだ。これから回数を重ねていくほど熟練してさらに素晴らしくなると思うんだけど、コンサートをする時に主催をやってくれるところがないんだよ。」という単刀直入の熱いオファーに、半ば押し倒されるように始めた主催公演ですが、昨年に引き続き、今回は更に演奏機会の少ないフランクの「弦楽四重奏曲」がメインでしたが、チケットは2週間で完売となりました。
凄まじいプロデュース力に支えられながら、小ホールのハクジュホールと大ホールの杉並公会堂での年に2回の公演を柱に、さらに地方へのツアーを積極的に行うThe 4 Players Tokyo。このような環境と実力が伴う団体は、間違いなく他に類を見ないと思います。そして主催者の知らないところで、内容や知名度が上がっていく事例は、他に経験したことがありません(笑)。
さて、内容につきましては、ヤナーチェクの「弦楽四重奏曲 第1番」は黎明期からの十八番とのことでたいへん洗練されていました。そしてベートーヴェンの「弦楽四重奏曲 第4番」と続き、メインはフランクの「弦楽四重奏曲」。マエストロの曲目解説の中で、最晩年の楽曲と説明がありましたが、私は恥ずかしながら初めて聴きました。進行がなかなか読めない曲でしたが、分厚いサウンドに圧倒され、いつの間にか引き込まれていました。たいへん洗練され、研ぎ澄まされた素晴らしいコンサートだったと思います。
近年、インフラとして小澤塾、サントリーホール室内楽アカデミー等、音大以外の教育環境も充実し、ウェールズ、アマービレ、インテグラなど、国際大会入賞を経て活躍の場が増すケースも多くなりました。そしてカルテットを始めとする弦楽アンサンブルの演奏環境の整備が様々なホールで行われている印象を受け、いっそう注目度が増しているように感じています。本企画を通じて、より室内楽が隆盛していくことを祈りながら、これからもホール運営に携わってまいります。
素晴らしい弦楽四重奏団と、マエストロ藤岡幸夫さんとのご縁に心から感謝しております。

2024年8月1日(木) The 4 Players Tokyo 第4回 藤岡幸夫プロデュース 音楽番組「エンター・ザ・ミュージック」(BSテレ東)から誕生したカルテット 19:00開演

[出演]
The 4 Players Tokyo
戸澤哲夫(ヴァイオリン) 遠藤香奈子(ヴァイオリン) 中村洋乃理(ヴィオラ) 矢口里菜子(チェロ)

藤岡幸夫(司会 / 指揮者・The 4 Players Tokyo プロデューサー)

[プログラム]
L.ヤナーチェク:弦楽四重奏曲 第1番 ホ短調 「クロイツェル・ソナタ」 
L.v.ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第4番 ハ短調 op.18-4               
C.フランク:弦楽四重奏曲 ニ長調 M.9   

[アンコール]
シベリウス:弦楽四重奏曲 ニ短調 op.56 「親愛なる声」より 第二楽章


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