原支配人による公演レビュー
【原支配人による公演レビュー】
2024年12月18日(水)
第175回 リクライニング・コンサート 水野優也(チェロ)&吉見友貴(ピアノ)
水野優也さんとの出会いは6年前に遡ります。私がコンサートの企画に関わるようになって10年強になりますが、チェロの向山佳絵子さんと長谷川陽子さんと企画した2014年秋スタートの「チェロ・コレクション」(全6回)というシリーズがあり、2018年第5回公演に水野さんにご出演頂いたのが最初で、その当時はまだ桐朋学園大学の学生でした。その頃チェロ同士のアンサンブルはなかなかチャンスがなく、世代を越えて演奏の場を持ちたいというお話しから、「チェロ・コレクション」では若手と学生を必ずお呼びすることにしました。その人選は向山さんと長谷川さんにお願いしておりましたが、2014年笹沼樹さん、15年森田啓介さん、16年上野通明さん、17年佐藤晴真さん、18年水野優也さん、19年鳥羽咲音さんという顔ぶれとなり、今思えば5年〜10年前の見立てとしては最高レベルのゲストでした。その後、水野さんとは偶然お目にかかったときに、ハンガリーのリスト・フェレンツ音楽大学への留学や、その卒業後ザルツブルク・モーツァルテウム大学へ進むことなど伺っておりました。
またここ数年連携を強めている一般社団法人Music Dialogueがハクジュホールで公開リハーサルを行った際に水野さんと吉見友貴さんが参加されていて、素晴らしい演奏を拝見したこともありました。水野さんの同期でご活躍中の佐藤晴真さん、森田啓介さんには既に「リクライニング・コンサート」にご出演頂いておりますので、今回は水野さんにご出演をお願いし、更にデュオの演奏者をどなたにお願いするかお任せしたところ、吉見さんのお名前が挙がりました。「リクライニング・コンサート」は主に若手主体というイメージがありますので、そういう意味ではまさに大歓迎の旬なコンビです。
プログラムはご本人に考え抜いて選曲頂いた3曲。シューマン「民謡風の5つの小品」、ブルッフ「コル・ニドライ」、これはユダヤ音楽からインスピレーションを得たと言われるゆっくりした曲。そしてメンデルスゾーン「ピアノとチェロのためのソナタ 第1番」、定番のラフマニノフ、ブラームス等ではなく、また2番でなく1番という演奏機会が少ない曲を選んで頂いたのも良かったです。お二人の息はぴったりで、表現のダイナミクスレンジも広く聴きごたえのある演奏で、テンポの速い曲からゆっくりした曲までバリエーションもあり、お客様にもご満足頂けたのではないでしょうか。また、シューマンとメンデルスゾーンは水野さんにとって初挑戦だったとの事、今回の公演がレパートリーを増やす機会として貢献出来た事も嬉しく思いました。
一方、打ち上げでは20代の旬の若手お二人の将来やってみたい事や夢などを伺うことが出来、楽しい時間になりました。今後の益々のご活躍をお祈りいたします。
2024年12月18日(水)15:00開演
第175回 リクライニング・コンサート 水野優也(チェロ)&吉見友貴(ピアノ)
[出演者]
水野優也(チェロ)吉見友貴(ピアノ)
[プログラム]
R.シューマン:民謡風の5つの小品 op.102
M.ブルッフ:コル・ニドライ op.47
F.メンデルスゾーン:ピアノとチェロのためのソナタ 第1番 変ロ長調 op.45
[アンコール]
R.シューマン:「3つのロマンス」op.94より 第2曲