原支配人による公演レビュー
2021年10月26日 (火)
【原支配人による公演レビュー】
2021年10月2日(土) Hakujuの歌曲 ♯1 ブラームスの愛と死 ~ 小山由美 メゾ・ソプラノ
2年ほど前に終えた「中嶋朋子の音楽劇紀行」というシリーズで、3年間6回に渡りオペラ界のトップ歌手とやり取りをさせて頂きましたが、多くの方がこのハクジュホールで歌曲を演奏したいと仰っていました。オペラ歌手も繊細な歌曲に取り組む事は重要であるというお話を複数受けまして、弱音のニュアンスが客席に届く当ホールで歌曲という難しいジャンルに取り組む必要があると思いました。歌曲と言ってもドイツリートだけでなく、イタリア、フランス、イギリス、日本、他色々な国に残されている曲を取り上げていこうと考えたのが「Hakujuの歌曲」シリーズです。このシリーズは不定期のシリーズにしようと今のところ決めております。
「Hakujuの歌曲」第1回は昨年からの延期公演になりますが、ドイツ在住のメゾ・ソプラノ、小山由美さん。わざわざ今回はこの公演のためだけに日本にいらして頂きました。共演は指揮者でピアニストの佐藤正浩さん、今回で主催公演3回目のお願いでした。このシリーズはどう考えても正統派ドイツリートから始めるしかないでしょうと考えました。しかしシューマン「詩人の恋」、シューベルトの三大歌曲はベタな内容になってしまうし、色々調べると演奏機会の少ない曲が多数ある事を知りました。数年前、渡辺玲子さんのレクチャーシリーズで、ピアノとヴァイオリンのためのソナタとブラームスの歌曲の関係が深いというお話を聞き興味を持ちまして、小山由美さんにはブラームスの歌曲を、永遠の愛を軸にオールブラームスで組み立てて頂きたい旨お話ししました。そして、タイトルはワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」みたいね、などとおっしゃいながら、「ブラームスの愛と死」に決まりました。冒頭、ピアノの佐藤正浩さんから、このコンサートはブラームスの数ある歌曲から愛と死と生を題材にした曲を揃えましたという説明がありました。
ブラームスの歌曲が素晴らしいメロディなのに演奏される機会が意外に少ない理由は、彼の性格上なのか歌も低音が多く歌いにくいという特徴があるとの事でした。その無茶なお願いを叶えて下さり感謝しかありません。
コンサート前半は佐藤さんによる曲のレクチャーを挟みながら、そこに日本語訳をホールの壁に投影しました。民謡集からの曲等もありましたが、内容の濃い演奏。前半最後に「永遠の愛」を歌いあげられた時には感動で涙が出てしまいました。終演後、「あの歌は原さんのために歌ったのよ」と言われて2度感動。
後半は「4つの厳粛な歌」。歌詞、音楽荘厳、重すぎる、歌詞を見てしまうと音楽への集中度が削がれるという事で、この4つの歌だけは歌詞の訳を配布しました。休憩前に佐藤さんから、後半は休憩中に歌詞カードを読んで意味を覚えて頂いた上で音楽に集中して聴いて欲しい旨説明がありました。
内容は生きる事の辛さ、大変さ。生まれてこなかった人はこの世の中を体験せずに幸せだ。どんな人生にも愛がなければ…最も大いなるものは愛である、と荘厳な歌詞で歌われました。
緊急事態宣言が解除され2日目ということもあり、多くの方にお越しいただき、小山さんから感謝の意が告げられ、最後アンコールはブラームスの「子守唄」。とても優しい気持ちになってコンサートは終了しました。
【Hakujuの歌曲 ♯1 ブラームスの愛と死 ~ 小山由美 メゾ・ソプラノ】
2021.10.2 (土) 15:00開演
[出演]
小山由美(メゾ・ソプラノ)
佐藤正浩(ピアノ)
[プログラム]
ブラームス:
「49のドイツ民謡集」 より
第6曲“その谷の下で”
第25曲 “僕の娘はバラ色の唇”
第15曲“お姉さん”
第42曲“静かな夜に”
「5つのリート」より “日曜日” op.47-3
「4つのリート」より “二人で散策した” op.96-2
「8つのリートと歌」より “湖上で” op.59-2
「5つのリート」より“サフォー頌歌” op.94-4
「5つのロマンスとリート」より “かいなきセレナーデ” op.84-4
「5つのリート」より “教会墓地で” op.105-4
「8つのリートと歌」より “雨の歌” op.59-3
「4つの歌」より “永遠の愛” op.43-1
4つの厳粛な歌 op.121
第1曲 “人に臨むことは動物にも”
第2曲 “私は全てを見る”
第3曲 “おお、死よ、”
第4曲 “たとえ私が人々や天使の異言で話したとしても”
[アンコール]
ブラームス:「5つのリート」より
“子守歌” op.49-4
2021年10月2日(土) Hakujuの歌曲 ♯1 ブラームスの愛と死 ~ 小山由美 メゾ・ソプラノ
2年ほど前に終えた「中嶋朋子の音楽劇紀行」というシリーズで、3年間6回に渡りオペラ界のトップ歌手とやり取りをさせて頂きましたが、多くの方がこのハクジュホールで歌曲を演奏したいと仰っていました。オペラ歌手も繊細な歌曲に取り組む事は重要であるというお話を複数受けまして、弱音のニュアンスが客席に届く当ホールで歌曲という難しいジャンルに取り組む必要があると思いました。歌曲と言ってもドイツリートだけでなく、イタリア、フランス、イギリス、日本、他色々な国に残されている曲を取り上げていこうと考えたのが「Hakujuの歌曲」シリーズです。このシリーズは不定期のシリーズにしようと今のところ決めております。
「Hakujuの歌曲」第1回は昨年からの延期公演になりますが、ドイツ在住のメゾ・ソプラノ、小山由美さん。わざわざ今回はこの公演のためだけに日本にいらして頂きました。共演は指揮者でピアニストの佐藤正浩さん、今回で主催公演3回目のお願いでした。このシリーズはどう考えても正統派ドイツリートから始めるしかないでしょうと考えました。しかしシューマン「詩人の恋」、シューベルトの三大歌曲はベタな内容になってしまうし、色々調べると演奏機会の少ない曲が多数ある事を知りました。数年前、渡辺玲子さんのレクチャーシリーズで、ピアノとヴァイオリンのためのソナタとブラームスの歌曲の関係が深いというお話を聞き興味を持ちまして、小山由美さんにはブラームスの歌曲を、永遠の愛を軸にオールブラームスで組み立てて頂きたい旨お話ししました。そして、タイトルはワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」みたいね、などとおっしゃいながら、「ブラームスの愛と死」に決まりました。冒頭、ピアノの佐藤正浩さんから、このコンサートはブラームスの数ある歌曲から愛と死と生を題材にした曲を揃えましたという説明がありました。
ブラームスの歌曲が素晴らしいメロディなのに演奏される機会が意外に少ない理由は、彼の性格上なのか歌も低音が多く歌いにくいという特徴があるとの事でした。その無茶なお願いを叶えて下さり感謝しかありません。
コンサート前半は佐藤さんによる曲のレクチャーを挟みながら、そこに日本語訳をホールの壁に投影しました。民謡集からの曲等もありましたが、内容の濃い演奏。前半最後に「永遠の愛」を歌いあげられた時には感動で涙が出てしまいました。終演後、「あの歌は原さんのために歌ったのよ」と言われて2度感動。
後半は「4つの厳粛な歌」。歌詞、音楽荘厳、重すぎる、歌詞を見てしまうと音楽への集中度が削がれるという事で、この4つの歌だけは歌詞の訳を配布しました。休憩前に佐藤さんから、後半は休憩中に歌詞カードを読んで意味を覚えて頂いた上で音楽に集中して聴いて欲しい旨説明がありました。
内容は生きる事の辛さ、大変さ。生まれてこなかった人はこの世の中を体験せずに幸せだ。どんな人生にも愛がなければ…最も大いなるものは愛である、と荘厳な歌詞で歌われました。
緊急事態宣言が解除され2日目ということもあり、多くの方にお越しいただき、小山さんから感謝の意が告げられ、最後アンコールはブラームスの「子守唄」。とても優しい気持ちになってコンサートは終了しました。
【Hakujuの歌曲 ♯1 ブラームスの愛と死 ~ 小山由美 メゾ・ソプラノ】
2021.10.2 (土) 15:00開演
[出演]
小山由美(メゾ・ソプラノ)
佐藤正浩(ピアノ)
[プログラム]
ブラームス:
「49のドイツ民謡集」 より
第6曲“その谷の下で”
第25曲 “僕の娘はバラ色の唇”
第15曲“お姉さん”
第42曲“静かな夜に”
「5つのリート」より “日曜日” op.47-3
「4つのリート」より “二人で散策した” op.96-2
「8つのリートと歌」より “湖上で” op.59-2
「5つのリート」より“サフォー頌歌” op.94-4
「5つのロマンスとリート」より “かいなきセレナーデ” op.84-4
「5つのリート」より “教会墓地で” op.105-4
「8つのリートと歌」より “雨の歌” op.59-3
「4つの歌」より “永遠の愛” op.43-1
4つの厳粛な歌 op.121
第1曲 “人に臨むことは動物にも”
第2曲 “私は全てを見る”
第3曲 “おお、死よ、”
第4曲 “たとえ私が人々や天使の異言で話したとしても”
[アンコール]
ブラームス:「5つのリート」より
“子守歌” op.49-4