原支配人による公演レビュー

2021年10月22日 (金)
【原支配人による公演レビュー】
2021年9月25日(土) 大谷康子のヴァイオリン賛歌 ―聴衆の皆様とともに創りあげる10年プロジェクト― 第5回<情熱>

大谷康子さんとは、毎週土曜日朝8時BSテレ東の番組で春風亭小朝さんとMCを務める「おんがく交差点」のロケ地でハクジュホールを100%ご利用頂いていたり、2年に一度の白寿こどもヴァイオリンコンクールの審査員として携わっていただき、また本企画でご出演いただいているという深いお付き合いです。今から30年以上前、私が学生オーケストラ4年生の欧州卒業演奏旅行のときにブダペストとウィーンに大谷さんが随行ソリストとしていらっしゃり、サン=サーンスの「ヴァイオリン協奏曲 第3番」をご一緒させていただいたのですが、このように深いご縁が繋がるなど予想もしていませんでした。
昨年はコロナで1年延期となりましたが、シリーズが始まって6年目で5回目。毎回テーマがありますが、今回は<情熱>でした。2年越しの<情熱>は正にタンゴがテーマでした。また、ピアノは山田武彦さん、パーカッションはホールとして15年以上振りの再会になりました、クリストファー・ハーディさんでした。
コンサート前半はピアソラの曲。ピアソラは南米で悩み、パリに作曲を習いに行き、南米、アメリカとタンゴ音楽を広めました。もともとスペインよりアルゼンチンに持ち込まれた音楽から生まれたアルゼンチンタンゴ、またそこからの影響でヨーロッパにタンゴが舞い込みコンチネンタルタンゴが生まれ、色んな作曲家に影響が及ぼされた歴史の解説を聴きながらのコンサートでした。聴き馴染みのあるタンゴ曲の連続で、それを大谷さんが楽しそうに、幸せを振りまくかのように演奏してくださいました。お話も素敵で、緊急事態宣言下、なかなか笑顔が作りにくい状況の中、お客様からも笑い声が出ていました。久しぶりに笑った方も多かったのではないかと思います。山田武彦さんの紹介で今回出演が決まったクリストファー・ハーディさんはホール開館当初、15年以上前にリクライニング・コンサートに出て頂いて以来の再会でしたが、ずっと日本に在住されていたという事も知ることが出来て良かったです。大谷康子さんの10年シリーズですが、1回延期になりまして11年10回のシリーズになります。
客席を明るくしてプログラムノートを見えるようにし、コンサート解説がスムーズになるようご誘導頂いた、プログラムノート解説の伊藤裕太様に心から感謝申し上げます。

【大谷康子のヴァイオリン賛歌 ―聴衆の皆様とともに創りあげる10年プロジェクト― 第5回<情熱>】
2021.9.25 (土) 15:00開演
[出演]
大谷康子(ヴァイオリン)
山田武彦(ピアノ)
クリストファー・ハーディ(パーカッション)

[プログラム]
第1部
A.ピアソラ:
  アディオス・ノニーノ
  「タンゴの歴史」より
    第2曲 “カフェ 1930” 
    第3曲 “ナイトクラブ 1960”
  南へ帰ろう(山田武彦編)
  「ブエノスアイレスの四季」より “春”(大谷康子編)
  リベルタンゴ

第2部
ストラヴィンスキー:タンゴ
ラパルスリー:私の心はヴァイオリン(山田武彦編)
ビクシオ:夜のヴァイオリン(山田武彦編)
エルヴィン:奥様お手をどうぞ(山田武彦編)
ヴォツェック:黒い瞳のジプシー
ビジョルド:エル・チョクロ
ロドリゲス:ラ・クンパルシータ
ゲーゼ:タンゴ・ツィガーヌ (ジェラシー)(山田武彦編)

[アンコール]
アルベニス:タンゴ
ロセンド・メンディサーバル:エル・エントレリアーノ