原支配人による公演レビュー

2021年08月27日 (金)
【原支配人による公演レビュー】
2021年7月3日(土) 仲道郁代 ベートーヴェンへの道 ベートーヴェン 鍵盤の宇宙 第3回「ベートーヴェンとクリムト」

昨年7月からの延期公演で、昨年7月は「ベートーヴェンと北斎」でしたがそれは第4回に延期し、第1回「ベートーヴェンとナポレオン」、第2回「ベートーヴェンとヘーゲル」に続き第3回「ベートーヴェンとクリムト」が開催出来ました。
ベートーヴェンという特徴的な音楽家を、他ジャンルの歴史的人物と重ね合わせるという難易度の高いシリーズです。第1回はベートーヴェンとナポレオンが同時期に生きていて、交響曲 第3番「英雄」はナポレオンがモチーフだったり、ナポレオンがウィーン占拠の時に大公と関わったことで名作が生まれたエピソードなどが紹介され、非常に分かりやすいスタートでしたが、第2回からは直接の関わりがない人物同士の関連という事で、表現が一気に難易度Sに切り替わった感じが致します。
選曲もピアノ・ソナタ 13番、24番、28番という事で、初めて3大ソナタと言われる曲を外してのコンサートとなりました。
しかし、この3曲はいわゆるソナタ形式ではない曲です。13番が「月光」と対になる曲、残り2曲に関しては幻想風と言われる楽曲。“幻想”というのは幻想的という事ではなく、色んなモチーフがたくさん出てくるという意味だという解説があり、前半のトークタイムでナビゲーターの浦久俊彦さんとの会話で、中世ウィーンと世紀末ウィーン、相互に関わるモチーフのお話は興味深いものがありました。
ベートーヴェンに関して探求されている仲道さんから、「ベートーヴェンと文芸家の関わりに関する勉強をして来ましたが、ベートーヴェンと絵画、アートという観点での着眼で研究した事はあまりなかったので、そこはまた今後新しい見え方になるであろう。」というようなコメントがあり、仲道さんのような博識ある方でも新しい見え方があるのだという事に気付きがありました。
知らない事に気付く幸せ、知らない事に気付くと人生の幅が広がる。この私自身が永遠のテーマにしていますが、そこに一部触れられた感覚を持ちました。
内容、表現がとても難しいシリーズでしたが、残り3回の方向性が見えた、そんなコンサートになりました。

【仲道郁代 ベートーヴェンへの道 ベートーヴェン 鍵盤の宇宙  第3回「ベートーヴェンとクリムト」】
2021.7.3 (土) 15:00開演
[出演]
仲道郁代(ピアノ/トーク)
浦久俊彦(ナビゲーター)

[プログラム]
ベートーヴェン:
ピアノ・ソナタ 第24番 嬰ヘ長調 op.78 「テレーゼ」
ピアノ・ソナタ 第13番 変ホ長調 op.27-1
ピアノ・ソナタ 第28番 イ長調 op.101