原支配人による公演レビュー

2021年08月26日 (木)
【原支配人による公演レビュー】
2021年6月30日(水) 巡礼の旅 ~阪田知樹と辿るベートーヴェンとリストの軌跡 第1回「旅の始まり」

1年越しの延期公演で「巡礼の旅~阪田知樹と辿るベートーヴェンとリストの軌跡 第1回旅の始まり」が開催出来ました。
阪田さんには2014年から2019年までにハクジュ1階エントランスにお借りしていたベーゼンドルファーのピアノを利用したコンサートにご出演頂き、その後フランツ・リスト国際ピアノコンクール優勝後にリクライニング・コンサートにご出演頂きました。そのときはオール・ラフマニノフ・プログラムでチケットは完売でした。
リクライニング・コンサート終了後に、実は阪田さんはピティナという団体のコンクールで小学生時代にハクジュホールで演奏した事実をお聞きし、たいへんご縁を感じました。また、かねてから私の問題意識、リストという作曲家の曲の演奏機会が少ない、しかし難易度と知名度の関係上、なかなかピアニストにリストの曲をオファーしにくいという事実をお伝えしたところ、ベートーヴェンの交響曲全てをリストがピアノ2手に編曲しているのは私も学生時代テルデックレーベルで見たのは覚えていましたが、それをやりたい、やろう!という話になりました。
公演を半年に1回開催しても4年半かかる大プロジェクト。4年半後、阪田さんが大ピアニストになっているでしょうから、ハクジュのような小ホールのイメージがつく事に熟慮をお願いしましたが、前向きな決断をいただきました。
阪田さんの天才脳味噌で考えられたのですが、これから行う全9回のコンサートでは、全ての交響曲に関係するイメージが重なる楽曲をコンサートの前半に入れるという事になり、たとえば第6回、ベートーヴェン/リストの交響曲「田園」の前にはリストの巡礼の年から「スイス」を入れる、というような曲のチョイスになります。
興行的には有名な曲からスタートしたい気持ちはありましたが、第1回は交響曲 第1番から行うという決断をしました。
第1回「旅の始まり」前半は、ドイツ古典派に関わる曲とリストの「ラ・カンパネッラ」。後半はベートーヴェン/リストの交響曲 第1番。
前半から超絶技巧と言うしかない、ピアノ鍵盤上の阪田さんの打鍵を見たら目眩を起こすような動きに呆気に取られたお客様も多かったと思います。
交響曲 第1番は、ピアノのみになるとピアノソナタ発展版のような印象を受ける感じでした。
いずれにせよ、超絶技巧コンサートになった事は間違いなく、これから4年間続くこの企画はハクジュのメイン企画として回っていくのだと心から思える夜になりました。
阪田さん、これから4年半、どうぞよろしくお願いいたします。

【巡礼の旅 ~阪田知樹と辿るベートーヴェンとリストの軌跡 第1回「旅の始まり」】
2021.6.30 (水) 19:00開演

[出演]
阪田知樹(ピアノ)

[プログラム]
シューベルト/リスト:宗教的歌曲 S.562/R.247より 第1曲 “連祷”
ベートーヴェン/リスト:アデライーデ S.466/R.121
リスト:「パガニーニによる超絶技巧練習曲集」 S.140/R.3aより 第3番 変イ短調 “ラ・カンパネッラ” (1838年版)
モーツァルト/リスト:「ドン・ジョヴァンニ」の回想S.418/R.228
ベートーヴェン/リスト:交響曲 第1番 ハ長調 S.464/R.128

[アンコール]
ショパン:ワルツ 第6番 変ニ長調 op.64-1 「子犬のワルツ」