原支配人による公演レビュー

2021年08月18日 (水)
【原支配人による公演レビュー】
2021年7月16日(金) Hakuju New Style Live ~心が喜ぶ演結び 新しい出会いの形~ 室内楽の極み

昨年の春頃は、何かを触った手で目や口を触れただけで罹患するような得体のしれない恐怖感で生活する中、コンサートは7月末位まで有観客で出来る状態ではありませんでした。そこで、コロナ病床を持つ湘南鎌倉総合病院の小林院長にガイドラインを監修して頂き、6月11日に50人からですが都内で最初にガイドライン「Hakuju モデル」を公表、「Hakuju New Style Live」というシリーズとしてコンサート活動を開始した事は何度も書いて来たと思います。6月11日の第1回がチェロの加藤文枝さん、12日の第2回がヴァイオリンの小林美恵さんでした。
それからも色んな模索をして大体8月位から有観客公演が始まったところで一定の役割を終えたことから「Hakuju New Style Live」は終了しました。
しかしながら先が見通せない中でキャンセル公演が相次いだことから、公演告知はSNSのみ、売出し期間2週間程度と決めて設営、集客に拘らずにお客様同士の間隔を空けてゆったりと配席し、演奏頻度の少ない名曲を選んで演奏するというスタイルで「Hakuju New Style Live」を再度行うことにいたしました。今回、ヴァイオリンの小林美恵さん、チェロの加藤文枝さんという、昨年ご登場いただいたお2人に加えて、美恵さんと軽井沢国際音楽祭で結びつきが強いクラリネットの横川晴児さん、美恵さんと昨年6月12日に共演頂いたピアノの上田晴子さんの愛弟子キムさんにご登場いただき、美恵さんの希望を叶えるような形で、メシアンの「世の終わりのための四重奏曲」の公演は行われました。
翌日午前から大阪で私は社員の結婚式があり大阪に向かうため、また完売で収容率制限もあったので前半まで客席ではなく舞台裏で聴いており、メインは聴く事は出来ませんでしたが、ベルクの「室内協奏曲」より第2楽章、ラヴェルの「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」までは聴くことが出来ました。両曲とも演奏会で取り上げられる頻度が低いものの、メインのプログラムの下地となるような独特の雰囲気に囲まれた名曲、また難曲続きで、相当な練習量をこなされた感じもありました。
「世の終わり~」は中座致しましたが、翌日のSNSを見たり客席からの感想を聞いておりますと、かなり演奏会終了後も独特の世界が残っていたとのことでした。
演奏頻度の少ないもっと取り上げられるべき曲を席数限定で行うという形に進化した「Hakuju New Style Live」になりました。
名演の場所を提供出来て光栄でした。

【Hakuju New Style Live 室内楽の極み】
2021.7.16 (金) 19:00開演
[出演]
小林美恵(ヴァイオリン)横川晴児(クラリネット)加藤文枝(チェロ)ジャンミッシェル・キム(ピアノ)

[プログラム]
ベルク:「室内協奏曲」より 第2楽章 アダージョ(クラリネット、ヴァイオリン、ピアノ編)
ラヴェル:ヴァイオリンとチェロのためのソナタ
メシアン:世の終わりのための四重奏曲