原支配人による公演レビュー

2021年08月09日 (月)
【原支配人による公演レビュー】
2021年7月14日(水) 第160回 リクライニング・コンサート 加耒徹 バリトン・リサイタル 19:30公演

加耒さんとは2年前に最終回を迎えた中嶋朋子さんに案内人をお願いした「音楽劇紀行」にご参加頂いて以来のご縁です。ミュージカル中心の最終回ではダンスにも挑戦して頂き、そのときのことが思い出されます。「リクライニング・コンサート」は昨年7月に出演をお願いしていましたが1年延期。但し、昨年の7月に行いました「コンサートの再開方法を教えて下さい!リサイタル」に急遽出演依頼をしまして、流れてしまった「リクライニング・コンサート」の手前の日付に歌って頂くという珍しい出来事もありました。こういうご縁は加耒さんだけなのでたいへんうれしく思っています。
加耒さんといえばその格好良いルックスも特長ですが、英語が得意というのも大きな特長です。
今回、前半は英語、中盤はドイツ語、後半はフランス語というように、いろいろなジャンルの歌曲を披露してくださいましたが、「リクライニング・コンサート」の趣旨に沿いながら、オール歌曲で、有名曲と、演奏機会が少ないけれどもお客様に披露したい曲とのバランスが絶妙で、あっという間の時間になりました。
ハクジュホール作ってまもなく20年になりますが、「グリーンスリーヴス」を聴けたのは初めてでしたし、ドイツ語はオールシューマン、「2人の擲弾兵」の中のメロディーにフランス国歌が入っているので最後はフランス。デュパルクの歌曲がメインで、亡くなる前に作品を大量に本人が捨ててしまったという事で寡作な作曲家の名曲を連続で歌って下さいました。何か胸に迫るものがありました。
アンコールはフォーレで美しく終えたコンサートでした。
緊急事態宣言継続直後のコンサート。これからも主催者として開催のリスク、恐怖と戦いながらも出来得る範囲の中でしか出来ないのですが、生の音を、演奏家の演奏舞台確保を目指して最大限に努力し、考え、演奏家に寄り添い、コンサート開催を継続していく覚悟です。

【第160回 リクライニング・コンサート 加耒徹 バリトン・リサイタル】
2021.7.14 (水) 15:00開演/19:30開演

[出演]
加耒徹(バリトン)
松岡あさひ(ピアノ)

[プログラム]
クィルター : 愛の哲学 op.3-1
ガーニー : 「5つのエリザベス朝の歌」より 第4曲 “眠り”
V.ウィリアムズ : 菩提樹の原(リンデン・リー)
イングランド民謡(ブリテン編) : グリーンスリーヴス
ジャーマン : リュートを持ったオルフェウス
R.シューマン :献呈 op.25-1
       東方のバラより op.25-25
       森の対話 op.39-3
       月の夜 op.39-5
       二人の擲弾兵 op.49-1
フォーレ :トスカーナのセレナーデ op.3-2
     リディア op.4-2
デュパルク :旅への誘い
      エクスタシー
      悲しき歌

[アンコール]
フォーレ:夢のあとに