原支配人による公演レビュー

2022年12月25日 (日)
【原支配人による公演レビュー】2022年12月6日(火) ~N響メンバーによる室内楽シリーズ~ N響チェンバー・ソロイスツ 第4回 新進気鋭のN響弦楽器奏者23名がHakuju Hallに集結!

NHKホール(NHK交響楽団)、Bunkamura、そしてハクジュホール。奥渋谷に展開する3館で連携をしようと模索して5年近くになります。Bunkamura地下のフレンチ「ドゥ マゴ パリ」でN響メンバーが演奏したり、「Bunkamura ドゥ マゴ パリ祭」の期間に合わせてハクジュホールでN響メンバーがフランス音楽を演奏したりという連携を地道にやって来ています。そんな中、NHKホールが2021年3月から2022年6月まで耐震工事で閉館になりましたが、その期間もNHK交響楽団の名前を渋谷に残そうという意識があり、ハクジュホールでN響メンバーによるコンサートを続けてきました。
シリーズの過去3回はフランス音楽、マーラーの「交響曲 第10番」室内オーケストラ版の日本初演、クリスティアン・バッハとモーツァルトと、多彩なラインナップです。今回はR.シュトラウスの「メタモルフォーゼン」をハクジュホールで聴くという、私の個人的な夢が叶う日となりました。私は若い頃からオケマンをやっていて、20代半ばは3つのアマチュアオーケストラに入り、年間10回舞台に乗った事もあります。早稲田交響楽団のOBオーケストラでは、ヴィオラパートで「マ・メール・ロワ」や「屋根の上の牛」、「町人貴族」などを演奏しました。その頃に「メタモルフォーゼン」のヴィオラ2番を弾いたのは、私のオーケストラ演奏人生の中で最大の思い出の一つでした。あれから四半世紀、いつかハクジュホールで聴いてみたいと思っていたRシュトラウス最晩年の名曲「メタモルフォーゼン」を、まさかこの素晴らしいメンバーで聴けるとは!という気持ちでした。
前半はR.シュトラウスの「弦楽六重奏のためのカプリッチョ」、メンデルスゾーンの「弦楽のための交響曲 第8番」でした。N響の皆さんは名手ですが、いずれの曲も演奏機会が少ないため、練習回数がかなり多かったと聞いております。全て集中力の高い、素晴らしい内容でした。終演後にメンバーとお話ししたところ、音量バランスを取るのが難しくかなり大変だったそうですが、白井圭さんを中心としたまとまりが素晴らしく、皆さんの満足度も高いようでした。
個人的には1stチェロと1stヴィオラに挟まれ燃えて弾いた時の思い出がフラッシュバックして、ああ、私にも青春時代があったなあと感じました。

2022年12月6日(火) ~N響メンバーによる室内楽シリーズ~ N響チェンバー・ソロイスツ 第4回 新進気鋭のN響弦楽器奏者23名がHakuju Hallに集結! 19:00開演
[出演]
白井圭、大宮臨太郎、宇根京子、倉冨亮太、髙井敏弘
猶井悠樹、降旗貴雄、宮川奈々、横島礼理、小林玉紀 (以上、ヴァイオリン)
佐々木亮、村上淳一郎、中村翔太郎、三国レイチェル由依、村松龍(以上、ヴィオラ)
辻󠄀本玲、市寛也、小畠幸法、中実穂、宮坂拡志(以上、チェロ)
稲川永示、本間達朗、矢内陽子(以上、コントラバス)
[プログラム]
R.シュトラウス:弦楽六重奏のためのカプリッチョ op.85/TrV 279a
メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲 第8番 ニ長調
R.シュトラウス:メタモルフォーゼン (23の独奏弦楽器のための習作) TrV 290

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