原支配人による公演レビュー

2021年04月17日 (土)
【原支配人による公演レビュー】
2021年4月6日(火) ~N響メンバーによる室内楽シリーズ ~N響チェンバー・ソロイスツ 第1回 フランス音楽の花園 19:00開演

渋谷駅から代々木公園に向かうエリアを奥渋谷、略して奥渋と言われているエリアです。このエリアに存在しているのが東急文化村、NHKホール、NHK交響楽団、ハクジュホール、この3組織?で奥渋の連携をしながらクラシック音楽を盛り上げようと、3年ほど前から打ち合わせをしていました。また、東急文化村にあるフレンチレストラン、ドゥ マゴ パリを中心とした“ドゥ マゴ パリ祭”という文化村のイベントに合わせてハクジュホールでN響団員がフランス音楽を演奏するという話と、N響さんとハクジュホールが近隣さんだという事も含めて演奏会をやるという、幾重にも積み重なった中で昨年6月予定の延期公演の実現でした。
私自身、室内楽ホール責任者のくせに大学オーケストラ出身で今もアマチュアオーケストラの団長をやっている事もあり、ハクジュホールという室内楽ホールにオーケストラサウンド、オーケストラのメロディーが流れる方法を常に考えていて、今もなお…模索中です。今回はN響の若手を中心とした精鋭15名が、前半には編成が難しくて演奏自体が中々されない曲を、後半はドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、ラヴェル「マ・メール・ロワ」の編曲版を演奏、わかりやすくて完璧なプログラムを素晴らしいクオリティでご提供頂きました。従前打ち合わせで、バイオリン2、ビオラ1、チェロ1、コントラバス1という編成、ミヨーの「五重奏曲 第2番」は日本で演奏されたことはあるのか?…調べようがないけれど、ひょっとしたら日本初演クラスの珍しさでは?という話題も出ました。
色んな事に気付きましたが、その中で、「マ・メール・ロワ」英語にすると“マザー・グース”ですが、美女と野獣の対話の部分、原作では美女がクラリネット、野獣がコントラファゴットでそれぞれのモチーフを演奏し、最後2つの異なる旋律が最後はハーモニーになり一緒に踊っているように感じられる素敵な曲です。今回は少人数でコントラファゴットなし。どうするかと思って聴いていたら、野獣の演奏はホルンとコントラバスでした。終了後、出演者の皆さんと話したときに、美女と野獣の対話はクラリネットとホルン、男同士が隣に座っての演奏だったね!と盛り上がりました。
予定では年に2回ペースで考えておりますが、色んな要素が関わっているこのシリーズ、ハクジュホールの名物企画に成長する可能性がある予感がしています。今年11月30日(火)にはマーラーをやります。ぜひ足をお運びください。お待ちしております。

【~N響メンバーによる室内楽シリーズ~ N響チェンバー・ソロイスツ 第1回 フランス音楽の花園】
2021.4.6 (火) 19:00開演
[出演]
大宮臨太郎、倉冨亮太、三又治彦、横島礼理(以上、ヴァイオリン)
中村翔太郎、村松龍(以上、ヴィオラ) 西山健一、宮坂拡志(以上、チェロ)
本間達朗(コントラバス) 梶川真歩(フルート) 𠮷村結実(オーボエ)
松本健司(クラリネット) 宇賀神広宣(ファゴット) 福川伸陽(ホルン) 早川りさこ(ハープ)

[プログラム]
M.ラヴェル:序奏とアレグロ
D.ミヨー:五重奏曲 第2番 op.316
J.フランセ:ファゴットと弦楽のためのディヴェルティスマン
C.ドビュッシー(木村裕編):牧神の午後への前奏曲
M.ラヴェル(W.エリオット編):マ・メール・ロワ