原支配人による公演レビュー
【原支配人による公演レビュー】
2020年6月23日(火)
Hakuju New Style Live ~今こそ音楽を!弦楽六重奏・喜び~ 15:00開演
6月23日に、「第3回 Hakuju New Style Live」を行いました。今回はヴァイオリニストの尾池亜美さんと事前に打ち合わせをしました。「New Style Live」は白寿の主催、「コンサートの再開方法を教えて下さい」は複数での主催で考えておりますが、毎回新しい何かを取り入れる、テーマを入れる、動員を増やす等の調整や挑戦をして、なるべく平常時の状態に近づける努力をしています。ホール業界の中で、或いはお客様に、コンサートに行く事は安全である、お客様にコンサートホールに足を運んで頂くという切っ掛けが出来たらという思い、考えで行なっています。コロナと共に生きる時代になるのか、いっときで終わるのか、色々模索するコンサート、「新しい状況での生音=ニュースタイルライブ」です。
当初は無料の配信のみで打ち合わせしていたのですが、弦楽アンサンブルを初挑戦するという事、よくよく話してみると、メンバーも素晴らしく、うちも60人程度であればお客様を入れる導線は作れるという事もあり、無料配信、有観客60人、弦楽アンサンブル、という形での初挑戦となりました。
演奏者はスウェーデン、オーストリア、名古屋、東京、あちこちから30歳前後の名手が集まりました。最初は無観客でチャイコフスキーの「フィレンツェの思い出」1曲で考えましたが、お客様に来ていただけることになり、R.シュトラウスの歌劇「カプリッチョ」から“プレリュード”も入れようという話でまとまり、1時間ぴったりの内容の濃いコンサートになりました。
ステージリハーサルでソーシャルディスタンスの話になり、奏者同士を1メートル程度離す席で最初弾いていたら、六重奏曲の音の密度が濃いせいなのか、ある程度席を離した方が演奏しやすい、音響が良いという話になり、間を開けた状態でコンサートをそのままやる事になりました。
R.シュトラウス、チャイコフスキー共に色彩ある、時には甘いメロディー、時には切れ味鋭いオーケストラ的なサウンド、四重奏に中低音の音が1パートずつ加わると、ここまで重厚に出来るのかという音を堪能出来ました。
6月にコンサートを再開して今回で4日目5公演目ですが、初めて客席で聴く事が出来ました。60席だと2席おきで非常にゆったりしていて、手前味噌ですがとても安全に感じられた事、演奏家もお客様も数ヶ月ぶりの舞台経験という事で、待ち焦がれていた感も強く、舞台上からの集中力、客席からの集中力ともに素晴らしかったです。公演が終了するとお客様の多くが拍手を頭の上で叩いていて、大興奮!しかしブラボーは言えないので(ブラボー叫び禁止)激しい拍手で舞台を称えていました。
最後のアンコールはありませんでしたが、尾池さんの音楽に待ち焦がれていた気持ち、第一歩をまた踏み出したという事に対する思いを告げたお話があり、またまた感動!という1日になりました。
「Hakuju New Style Live」の目先予定はまだありませんが、何かが熟したらまたお客様に告知させて頂きます。生の音を聴いて、前向きな気持ちになり、少しでも免疫力が上がると嬉しいです。
【Hakuju New Style Live ~今こそ音楽を!弦楽六重奏・喜び~】
2020.6.23 (火) 15:00開演
[出演]
尾池亜美、田代裕貴(ヴァイオリン)、安達真理、多井千洋(ヴィオラ)、荒井結、伊東裕(チェロ)
[プログラム]
R.シュトラウス:歌劇「カプリッチョ」より “プレリュード”
チャイコフスキー:フィレンツェの思い出 op.70