原支配人による公演レビュー

2020年06月14日 (日)

【原支配人による公演レビュー】
2020年6月11日(木) 
Hakuju New Style Live〜心が喜ぶ演結び 新しい出会いの形へ〜 加藤文枝&小澤佳永 19時開演

3月11日を最後に主催公演を、3月ー6月までは延期か中止、7月ー12月の主催公演は全て2021年に1年繰延という苦渋の決断をさせて頂きました。そんな中非常事態宣言が出て、どこの劇場もコンサートが出来ない状況に追い込まれたままで今日まで来ています。
こういう、ステップ2で100人、ステージ3でうちでは150人以内という状況で、ソーシャルディスタンスを守る導線作り、コンサートガイドライン作り、プログラム渡しなし、というようなこの環境下で出来るコンサートをなんとか開催出来ないかという事で、湘南鎌倉総合病院の小林修三医学博士の監修を受け、信頼している関係者の方々と協議し、先ずは51名のお客様、トイレ休憩なし、万全の感染対策コンサートをチェロの加藤文枝さん、ピアノ小澤佳永さんをお迎えして行いました。
withコロナの状態で聴く新しいクラシックホールでの聴き方の提案という事で、「Hakuju New Style Live」 というネーミングで行わせて頂きました。
曲は、フォーレとドビュッシーの小品3曲の後にドビュッシーの「チェロソナタ」、そしてメインにラフマニノフの「チェロソナタ」。アンコールはラフマニノフの「ヴォカリーズ」でした。
今回はフロア、ステージ、照明、いつも協力会社にお願いしているのですが今回は全てホール社員で行わせて頂きました。人手不足で私は扉開閉係を仰せつかったので残念ながら客席では聴けませんでしたが、裏手にあるスピーカーを通じてお二人の熱演を聴く事が出来ました。
人の前で演奏を届けて感動を与えるのが仕事の彼女たちから、人前で演奏する機会が奪われた辛さは恐らくこの時期、コンサートがなくて収入がない事より辛かった事だと拝察しています。まだコロナが解決する目処は立っておらず、完全に自由な状態になるのはまだ先になろうかと思いますが、家でのステイホームの時間に、最初にお客様の前で弾くのはお客様に感情を表現できるラフマニノフ、と決めていらしたという事。正に熱演でした。
更に、演奏を生で聴く事を欲していらしたお客様にとっても、とても大切な機会になった事だと思います。
舞台裏から客席を見ました。売り切れとはいえ、50席ほどのお客様。大変ありがたいお客様に感謝ですが、その一方でコロナに対して一歩目を踏み出せたとしても、まだまだ正常への道のりは長いと思いました。

【Hakuju New Style Live〜心が喜ぶ演結び 新しい出会いの形へ〜 加藤文枝&小澤佳永】
2020.6.11 (木) 19:00開演

[出演]
加藤文枝(チェロ)、小澤佳永(ピアノ)

[プログラム]
フォーレ:エレジー op.24
フォーレ:ロマンス op.69
ドビュッシー:美しき夕暮れ
ドビュッシー:チェロ・ソナタ ニ短調
ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調 op.19

[アンコール]
ラフマニノフ:「ヴォカリーズ」

※写真:
・公演ではカーテンコール、公演後のメディアによるインタヴューでも出演者はソーシャル・ディスタンスに配慮。
・会場入り口、ホワイエなどの感染症予防対応。
・今回の座席配置。