原支配人による公演レビュー

2020年03月31日 (火)
【原支配人による公演レビュー】
2020年3月11日(水) Hakuju 東日本大震災チャリティコンサート
2011年3月11日に起きた東日本大震災。その年に1階エントランスで3回、ホールで1回。実施しない年もありましたが、2011年の時に集まってチャリティーをやったメンバーで、毎年3月11日だけは絶対に予定を空けておき、演奏して来ました。
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノに始まり、サクソフォンカルテット、ギター、メゾ・ソプラノという編成でして、被災地に募金をお送りする、東北三県から仮設住宅がなくなるまでやるぞという私の意思を受けて頂いての毎年開催です。毎年会う喜びと、普段のコンサートではなかなか組めない楽器とアンサンブルが出来るという新しい試み、このアンサンブルの楽しみと、被災地を応援しようという思い、同窓会のような気持ちで集まれる仲間。様々な要素が重なり、色々な思いが重なるコンサートとなっています。
メインに毎年サクソフォンの平野さんが時間をかけてオーケストラの楽曲を編曲、今年は「カルメン」でしたが、去年は「展覧会の絵」。その前にも「ラプソディー・イン・ブルー」や「動物の謝肉祭」、「牧神の午後の前奏曲」、「ボレロ」。様々な曲をご披露いただきました。これも大きなコンサートの力点です。

今年は新型コロナウイルスという想定外の環境があり、開催について主催者も迷いましたが、チャリティーというコンサートの特性も考えての開催決定。しかし来られない方に関しては払い戻しを受付、CD販売、募金呼びかけのアーティストからの送り出しはなし、バーカウンター中止、という条件で行いました。
お陰様でチケットは完売しておりましたが、当日のご来場者は127名。時期が時期だけに仕方がないと思いましたが、ここに来ての大物アーティストたちのキャンセルラッシュもありまして、アーティストたちの今日にかける思い、いつも素晴らしいですがいつにも増して一音一音を大切に演奏しているのが伝わり、客席でジンとくる、こみ上げてくるものがありました。
ちょうど10年、仮設住宅もかなりなくなり、三陸鉄道や常磐線も全線開通いたしました。そろそろ節目か、と感じるところもありますが、素晴らしいハクジュの宝物のご縁のアーティストの皆様とよく話し合って、これからの形について決めて行けたらと思います。
当日は多くのお客様にご来場頂き、心から感謝しております。
どうもありがとうございました。

【Hakuju 東日本大震災チャリティコンサート】
2020.3.11 (水) 15:00開演
[出演]
大萩康司(ギター)、川本嘉子(ヴィオラ)、小林美恵(ヴァイオリン)、長谷川陽子(チェロ)、林美智子(メゾ・ソプラノ)、三舩優子(ピアノ)
ブルーオーロラ サクソフォン・カルテット (BASQ)
 平野公崇(ソプラノ・サクソフォン)、田中拓也(アルト・サクソフォン)、加藤里志(テナー・サクソフォン)、本堂誠(バリトン・サクソフォン)

[プログラム]
デザンクロ:四重奏曲より 第2,3楽章 <BASQ>
コダーイ:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 op.7 より 第3楽章 <小林 / 大萩>
武満徹:海へ <川本 / 大萩>
Ⅰ.夜 Ⅱ.白鯨 Ⅲ.鱈岬
シューベルト:アヴェ・マリア <林 / 小林 / 三舩>
マスカーニ:アヴェ・マリア <林 / 小林 / 三舩>
J.S.バッハ=ブゾーニ:「6つのシュープラー・コラール」より“目覚めよ、と叫ぶ声あり” BWV 645 <三舩>
武満徹(福田進一編):翼 <大萩>
ビゼー(平野公崇編):歌劇「カルメン」より

[アンコール]
菅野よう子:花は咲く <全員>