原支配人による公演レビュー

2020年02月18日 (火)
【原支配人による公演レビュー】
2020年2月4日(火) 第10回浜松国際ピアノコンクール優勝者 ジャン・チャクムル ピアノ・リサイタル(19時開演)
2月4日、一昨年の浜松国際ピアノコンクールで一位入賞したトルコ人、ジャン・チャクムルさんの優勝記念コンサートを行いました。
高松国際コンクール優勝者古海行子さんの優勝副賞でハクジュホール1階エントランス「ランチタイム・コンサート」に続き、浜松国際ピアノコンクール優勝者もハクジュホール1階エントランスで副賞を約束していたのですが、事情で昨年夏にベーゼンドルファー社から借りて1階に置いていた214センチ型のピアノ返却する事になり、浜松、ベーゼンドルファー社と調整して発展的に、エントランスでなくハクジュホールでコンサートを開催する事になりました。チャクムルさんはカワイのピアノの持ち込みが主でしたが、せっかくベーゼンドルファーコンサートの企画でしたので、ベーゼンドルファー社の280VCというフルコンサートサイズのピアノを持ち込むことになりました。
先日の横浜みなとみらいホール大ホールと同じ曲でしたが、ハクジュホールもお陰さまで完売し、とても嬉しい結果になりました。
ベーゼンドルファー280VCの音はまたハクジュホールの音響にマッチし、とてもクリアでかつ素晴らしい音色でした。1月の仲道郁代さんのコンサートでヤマハを持ち込みましたが、ピアノによりこんなに響き方が変わるのだと驚きました。
曲目はスカルラッティ、チャクムルさんの友人であるドメネクさんが作曲した小品、シューベルト歌曲集リスト編曲の「白鳥の歌」というかなり特徴的な内容、特に「白鳥の歌(ピアノ編曲版)」は演奏機会が少ないとともに、「白鳥の歌」だけでもコンサートが成り立つような長大な楽曲。どういう組み立てにするかという感じでしたが、「白鳥の歌」が5曲終わったところで休憩となりました。ぶつ切り感はなく、私の主観ですがセレナーデに向かって逆に山が出来ていく感じを受け、集中力が客席から上がる組み立てに感じました。
圧倒的な雰囲気の中、ハクジュホールの音響を楽しむかのようなダイナミクスレンジ。いらして頂いたお客様の満足度もとても高く感じました。
日本で最も権威高い、故中村紘子先生がとても大切にしていらした浜松ピアノ国際コンクールの優勝者記念コンサートをハクジュで出来た事は、またホールの歴史に刻まれたと思います。
チャクムルさんには益々、世界で羽ばたいて頂けたらと思います。
今回のコンサート開催に向けて調整下さいました関係者の方々全てに感謝したいと思います。

【第10回浜松国際ピアノコンクール優勝者 ジャン・チャクムル ピアノ・リサイタル】
2020.2.4 (火) 19:00開演
[出演]
ジャン・チャクムル(ピアノ)
[プログラム]
スカルラッティ:「ソナタ」より
E.ドメネク:「ピアノのための短編小説」より第4曲 “かくれんぼ”
シューベルト/リスト:白鳥の歌(全曲)
[アンコール]
ベートーヴェン (リスト編曲):「遥かなる恋人に」より “この歌を受け取って”