原支配人による公演レビュー

2020年01月29日 (水)
【原支配人による公演レビュー】
2020年1月24日(金) Opus One [オーパス・ワン]:Live @ Hakuju Hall Vol.3 石上真由子(19時開演)

昨年発売開始の日本コロムビア新レーベル「オーパス・ワン」のお披露目コンサートを、選出アーティストが当ホールとご縁深い方も多いという事でHakuju Hallにて行うことになったという経緯がございます。昨年9月にチェロ笹沼樹さん、12月ピアノ古海行子さんに続き第3弾は、医師国家資格を有するヴァイオリニスト石上真由子さんです。ゲストにピアノの佐野隆哉さんをお迎えしてのコンサートになりました。
石上さんは積極的に室内楽に挑戦していらっしゃいまして、室内楽やオーケストラでの出演は何度か拝見し、お人柄、目標などは拝聴していましたが、ソロでの2時間のコンサートは初めてでした。京都にお住まいがある石上さんにとっても東京でのこの日のコンサートは大きなウェイトを占めているであろうと想像しながら、やや緊張しながら私もコンサートを迎えました。プログラムにアーティスト自身のプログラムノートが挟まれていたり、SNSでもデビュー10年という告知もあり、本気度と熱を感じました。
出だしは金色と黒の衣装でバルトークの「無伴奏」、既にホールの特性をご存知だったので、音響特性をフルに活かしたキレッキレの演奏でした。
次に「オーパス・ワン」レーベルCDにも録音で入っているヤナーチェクの「ヴァイオリン・ソナタ」の演奏でした。あっという間に着替えて黒のパンツルックで登場!叙情的なところからsul G (G線で)の破裂音のような音まで、物凄いコントラストと集中力の中で駆け抜けていかれました。
休憩後はうって変わって白い天使のようなドレス。シマノフスキの官能的音楽の後に4曲目も着替えるのかなとか思っていましたら、メインのラヴェルの「ヴァイオリン・ソナタ」にアタッカで飛び込みました。終演後に伺ったら、シマノフスキの最後のDの音とラヴェルの出だしのDが繋がりがあると思い、思い切ってアタッカにしたとのことでした。2楽章のピツィカートも弦が切れてしまうのではないかという大音量!こちらも後から伺うとカントロフ直伝との事でした。
そして2時間を超えようかという時間で終了後、ご挨拶の後に、アンコールでラヴェルの「ツィガーヌ」という、まさに石上真由子!という曲で終わりました。
最初から最後まで繊細と音量、サプライズ!
個人的ツイッターで書きましたが、圧倒、圧巻としか言えない演奏会で、言葉では書き尽くせないほどでした。
また、終了後のSNSでの反響も大きいコンサートでした。

【Opus One [オーパス・ワン]:Live @ Hakuju Hall】
2020.1.24 (金) 19:00開演
[出演]
石上真由子(ヴァイオリン)
佐野隆哉(ピアノ)
[プログラム]
バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz.117 BB124
ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ
シマノフスキ:神話 ― 3つの詩 op.30
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ ト長調

[アンコール]
ラヴェル:ツィガーヌ