原支配人による公演レビュー

2019年11月12日 (火)
【原支配人による公演レビュー】
10/26(土)小林美恵 華麗なるヴァイオリンの伝説<全6回> 第4回 「天使と悪魔」~小林美恵 イタリアを弾く

小林美恵さんのヴァイオリンシリーズ第4回は、小林美恵イタリアを弾くというものでした。
前半はナビゲーターの浦久俊彦さんとのトークとコンサート。ニーノ・ロータから始まりコレッリ、タルティーニ「悪魔のトリル」と続きました。トークは、例えばパガニーニが超絶技巧過ぎて悪魔に魂を売ったと言われてみたり、「悪魔のトリル」も、タルティーニが睡眠中に夢の中に悪魔が出て来て弾いた曲を思い出して書いたと言われている曲というように、どうもヴァイオリンという楽器はその形、技巧、音域含めて悪魔的な魅力がある、という話でまとまって行きました。色々な音楽家がヴァイオリンという骨董品の楽器のしもべになり、或いは楽器に命を捧げて職業としてヴァイオリニストになる、そんな感じのヴァイオリンの悪魔的魅力についてお話出ました。
イタリアにストラディヴァリウスがいて、メディチ家がフランスにヴァイオリンを伝導した等を考えるとヴァイオリンと言えばイタリア、という事だなあ、と改めて思いました。
後半は純粋に音だけのコンサートでしたが、後半も少し捻り、パガニーニを弾かずにシマノフスキの3つのパガニーニの奇想曲と、レスピーギのヴァイオリンソナタ。後半はそれほど演奏頻度高くないながらも難易度高い楽曲達が、正に王道、円熟の演奏でした。ピアノの上田晴子さんとの息もぴったりで、正にデュオ!という感じで、レスピーギ演奏後のブラボー!の声は大きかったです。
アンコールはまたニーノ・ロータに戻り、映画音楽のメドレーでした。個人的に「ロメオとジュリエット」の旋律が大好きで、思いもよらないところでのニーノ・ロータはアンコール、がっつりメインディッシュの後としては最高のデザートという感じを持つことが出来ました。
10月は内容の濃い主催続きでしたが、10月の充実のラインナップを無事終了致しました。

【小林美恵 華麗なるヴァイオリンの伝説<全6回> 第4回 「天使と悪魔」~小林美恵 イタリアを弾く】
2019年10月26日(土)14時開演

[出演]
小林美恵(ヴァイオリン)
上田晴子(ピアノ)
浦久俊彦(ナビゲーター)

[プログラム]
ニーノ・ロータ:即興曲 ニ短調
コレッリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第4番 ヘ長調 op.5
タルティーニ(クライスラー編):ヴァイオリン・ソナタ ト短調 「悪魔のトリル」
シマノフスキ:3つのパガニーニ・カプリース op.40
レスピーギ:ヴァイオリン・ソナタ ロ短調

〈アンコール曲〉
ニーノ・ロータ:映画音楽メドレー
「甘い生活」「ロミオとジュリエット」「太陽がいっぱい」
「ゴッドファーザー 愛のテーマ」「8 1/2」より