原支配人による公演レビュー

2019年10月29日 (火)
【原支配人による公演レビュー】
10/16(水)「渡辺玲子 プロデュース レクチャーコンサート vol.5 知る、聴く、喜び ~時代を彩る名曲とともに~ ラヴェルとガーシュウィン、そしてプーランク ~フランスにおける2つの流行、「ジャズ」と「スペイン風」~」

今年で5回目になる渡辺玲子レクチャー。渡辺玲子さんが特任教授をやっている秋田の国際教養大学のご縁から秋田のアトリオンホールで行っているレクチャーコンサートである、青少年のための音楽教室のコンテンツを東京でもやりたいという話をお聞きしたのが6、7年前。話し合いは、国際教養大理事長室で打ち合わせした事もありましたが、内容は走りながら考えつつも、ヴァイオリン・ソナタをやる、顧客対象は青少年向け、ではなくて知的好奇心高そうな方と方針を設定。ここから初めてブラームス、フランク、R.シュトラウス、ベートーヴェンで最初の3回は終わりました。去年は民族音楽系をやろうとなり、プロコフィエフ、バルトーク、ヤナーチェクをやりました。少し曲の知名度が下がり、初めて完売を逃したものの、内容が濃くてお客様の満足度が想定外に高そうなので、これからはインテリのお二人自身も興味持って調べるコンサートにして行こう、となりました。企画の打ち合わせは26時までかかることもありましたが、今年に関してはフランス物、ラヴェルとプーランクを軸とし、「ラヴェルとアメリカ、ブルース」「プーランクと反戦、スペイン」という、前後半ともフランス物とそこから派生するもの、で構成しました。
前半はラヴェルの前後にドビュッシーの「ケークウォーク」とガーシュウィンを入れて、ラヴェルのアメリカツアーとガーシュウィンとの交友等の話。後半はプーランクが戦争で虐殺されたスペインの詩人を偲んで作った曲、そしてラヴェルのお母さんがスペインのバスク地方なので、スペイン、民族音楽との関係でファリャと「ツィガーヌ」を弾いて下さいました。
お二方の演奏もトークも本当に素晴らしく、なかなか他に類を見ない内容でお客様にご提供出来ました。終了後、打ち上げと称して来年の方針の打ち合わせを深夜まで話しましたが「次回はアメリカにしよう」ということで、初めのうちは「ドヴォルザークとアイヴズで」と話していたのですが、意外な方向にアイデアが発展してあれれあれれで・・・。
来年もぜひいらしてください。とても知的好奇心がくすぐられる内容になりそうです。
最後にこのシリーズの特徴。5年連続で質問コーナー作っているのですが、普通はお客様なかなか挙手なさらない事が多いのですが、本シリーズについてはとにかく質問の手がたくさん上がります。

ドビュッシー(ハイフェッツ編):「子供の領分」より 第6曲
“ゴリウォーグのケークウォーク”
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ
ガーシュウィン:「ソング・ブック」より“私の愛する人”
(ピアノ・ソロ)
ラヴェル:ハバネラ形式の小品
ファリャ(コハンスキー編):「7つのスペイン民謡」より
第1曲“ムーア人の衣装”、第5曲“子守歌”、第7曲“ポーロ”
プーランク:ヴァイオリン・ソナタ
ラヴェル:ツィガーヌ

「渡辺玲子 プロデュース レクチャーコンサート vol.5 知る、聴く、喜び ~時代を彩る名曲とともに~ ラヴェルとガーシュウィン、そしてプーランク ~フランスにおける2つの流行、「ジャズ」と「スペイン風」~」
2019年10月16日(水)19時開演

[出演]
渡辺玲子(ヴァイオリン)
江口玲(ピアノ)

[プログラム]
ドビュッシー(ハイフェッツ編):「子供の領分」より 第6曲“ゴリウォーグのケークウォーク”
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ
ガーシュウィン:「ソング・ブック」より“私の愛する人”
(ピアノ・ソロ)
ラヴェル:ハバネラ形式の小品
ファリャ(コハンスキー編):「7つのスペイン民謡」より
第1曲“ムーア人の衣装”、第5曲“子守歌”、第7曲“ポーロ”
プーランク:ヴァイオリン・ソナタ
ラヴェル:ツィガーヌ