原支配人による公演レビュー

2019年10月24日 (木)
【原支配人による公演レビュー】
9/18(水)「第148回 リクライニング・コンサート 金子美香 メゾ・ソプラノ リサイタル」

9月18日メゾソプラノ金子美香さんのリクライニング・コンサート。金子さんと言えば2018年にバイロイト音楽祭でバイロイトデビューを果たした新進気鋭のオペラ歌手です。伴奏はホールにとってお馴染みの河野紘子さん。金子さんは昔から葛飾の歌姫と地元で有名だったようです。今回ご縁でワーグナー、ドイツ・オペライメージの彼女に歌曲をお願いするチャンスに恵まれたのはホールにとってもとても幸運なことでした。
リクライニングは短い1時間コンサートですが、短い時間の中で、ドイツリート、フランス歌曲、日本歌曲、最後はオペラという形でコンパクトにまとめて下さいました。
歌を歌う前に曲目解説にとどまらず、歌う前に歌詞を日本語訳であらかじめ読んでから歌うという手法はなかなか気づかない方法で、日本語の言葉の意味を理解一度して音楽を聴く。という方法が理解を深めるのにとても合う感じでした。
個人的にですが、シューマンの歌曲集「ミルテの花」から「献呈」など、リストがピアノに編曲してのピアノ曲は幾度となく聴きましたが、実は原曲の演奏へのご縁なく、今回初めて原曲を聴けた事がとても幸せな気持ちに。オペラは「サムソンとデリラ」でしたが、最後の「ジュ・テイム」のささやきが、コンサート幕引きとして最高の余韻を作ってくださいました。
アンコールの「よかった」という歌は、芸大の中で引き継がれている曲で、歌詞が本当に素敵で、白寿本社の社歌にしたくなるような。「毎朝この歌を聞いたら揉め事とかこの世からなくなるだろうな」と思える素敵な楽曲でした。幸せな気持ちになれました。
終了後、軽く食事しましたが、金子さん、河野さんそれぞれがご主人呼んで下さって、和やかなふた家族と素敵な時間を過ごさせて頂きました。

「第148回 リクライニング・コンサート 金子美香 メゾ・ソプラノ リサイタル」
2019年9月18日(水)15時、19時30分開演

[出演]
金子美香(メゾ・ソプラノ)
河野紘子(ピアノ)

[プログラム]
橋本國彦(詞:西條八十):お菓子と娘
山田耕筰(詞:西條八十):秋風の歌
中田喜直(詞:長崎透):アマリリス
髙田三郎(詞:高野喜久雄):くちなし
シューマン:「ミルテの花」op.25 より
 第7曲 “はすの花”
 第3曲 “くるみの木”
 第1曲 “献呈”
ショーソン:「7つの歌」op.2 より 第6曲 “エベ”
アーン:「灰色の歌」より 第5曲 “恍惚のとき”
アーン:リラに来るうぐいす
リスト:おお、夢に来ませ S.282/R.569b
サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」より “あなたの声に我が心は開く”