ベートーヴェン 鍵盤の宇宙 第2回「ベートーヴェンとヘーゲル」
Hakuju Hallでの今年1月までの3年間全6回にわたるシリーズ「仲道郁代 ショパンへの道」を大好評のうちに終えたピアニスト仲道郁代。彼女と当ホールとが再び組んで、今年から3年間全6回にわたって行う新プロジェクトが「仲道郁代 ベートーヴェンへの道」です。
彼女がライフワークとしてきたベートーヴェンをとりあげるこのシリーズのテーマは「ベートーヴェンと偉大な魂との対話」。哲学、美術、宗教、文学など、洋の東西を超えた偉人たちとの対比を通してベートーヴェンの生涯・音楽を読み解き、その真実にせまります。メインはもちろん仲道による充実のベートーヴェン演奏。さらに、仲道とナビゲーター役の文筆家・文化芸術プロデューサーの浦久俊彦とのトークが加わり、「楽聖」の音楽を多角的に理解し、味わえる公演になります。その第1回「ベートーヴェンとナポレオン」は7月20日に開催し、満席のお客様をベートーヴェンの奥深い世界へといざないました。
続く第2回でベートーヴェンと対置されるのは、19世紀初頭の西洋哲学の巨人ヘーゲルです。彼と音楽の巨人ベートーヴェンとはいかなる時代精神を共有し、ベートーヴェンの音楽ではそれがどのような形で開花したのか。そんな知的興味がつきない音楽の楽しみをお届けします。
Hakuju Hallの親密な空間だからこそ実現できた高濃度なプロジェクト。どうぞご期待下さい。
出演
仲道郁代(ピアノ&トーク)
浦久俊彦(ナビゲーター)
プログラム
第2回 ベートーヴェンとヘーゲル
ベートーヴェン Beethoven:
- ピアノ・ソナタ 第5番 ハ短調 op.10-1
Sonata for Piano No.5 in c minor op.10-1 - ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 op.27-2 「月光」
Sonata for Piano No.14 in c# minor op.27-2 “Moonlight” - ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調 op.109
Sonata for Piano No.30 in E major op.109
プロフィール
仲道郁代(ピアノ/トーク) Ikuyo Nakamichi, piano / talk
4歳からピアノを始める。桐朋学園大学1年在学中に第51回日本音楽コンクール第1位、増沢賞を受賞。文化庁在外研修員としてミュンヘン国立音楽大学に留学。ジュネーヴ国際音楽コンクール最高位、メンデルスゾーン・コンクール第1位メンデルスゾーン賞、エリザベート王妃国際音楽コンクール第5位と受賞を重ね、以後ヨーロッパと日本で本格的な演奏活動を開始。88年に村松賞、93年にモービル音楽奨励賞を受賞。古典派からロマン派まで幅広いレパートリーを持ち、これまでに日本の主要オーケストラはもとより、海外のオーケストラとの共演も数多く、人気、実力ともに日本を代表するピアニストとして活動している。これまでにサラステ指揮フィンランド放送交響楽団、マゼール指揮ピッツバーグ交響楽団、バイエルン放送交響楽団、フィルハーモニア管弦楽団、ズッカーマン指揮イギリス室内管弦楽団(ECO)、フリューベック・デ・ブルゴス指揮ベルリン放送交響楽団、P.ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団などのソリストとして迎えられ高い評価を得ている。また、99年にはカーネギーホールでリサイタル・デビュー、2001年にはサンクトペテルブルグ、ベルリン・フィルハーモニーホールでコンチェルト・デビュー。05年には、英国チャールズ皇太子夫妻ご臨席のもとウィンザー城で行われたイギリス室内管弦楽団(ECO)主催の「結婚祝祭コンサート」に出演し絶賛された。室内楽ではストルツマン、ハーゲン弦楽四重奏団、ブランディス弦楽四重奏団、ベルリン・フィル八重奏団等と日本ツアーを行い、いずれも好評を博す。19年秋にはゲヴァントハウス弦楽四重奏団との日本ツアーが予定されている。CDはソニー・ミュージックジャパンと専属契約を結び、レコード・アカデミー賞受賞CDを含む「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集」や、「モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集」、「シューマン:ファンタジー」、古楽器での録音など多数リリースしている。著作には『ピアノの名器と名曲』『ショパン 鍵盤のミステリー』『ベートーヴェン 鍵盤の宇宙』(ナツメ社)、『ピアニストはおもしろい』(春秋社)等がある。18年よりベートーヴェン没後200周年の27年に向けて「仲道郁代 Road to 2027 プロジェクト」をスタートし、リサイタルシリーズを展開中。一般社団法人音楽がヒラク未来代表理事、一般財団法人地域創造理事、桐朋学園大学教授、大阪音楽大学特任教授。
浦久俊彦(ナビゲーター) Toshihiko Urahisa, navigator
文筆家、文化芸術プロデューサー。サラマンカホール音楽監督、代官山未来音楽塾塾頭、一般財団欧州日本藝術財団代表理事、三島市文化アドバイザー。パリで音楽学、歴史社会学、哲学、美学を学び、フランスを拠点に、音楽、アートの分野だけでなく、M.O.F.(フランス最優秀職人)の支援など、幅広く文化芸術プロデューサーとして活躍。帰国後、三井住友海上しらかわホールのエグゼクティブ・ディレクターを経て、現在、浦久俊彦事務所代表。多彩なアーティストのオリジナル企画を手がけ、文化芸術ナビゲートとして全国で活躍するなど、一流アーティストからの信頼も厚い。また、日本とヨーロッパの文化交流活動、音楽をよりよい社会創りに活かす人材の育成、地域の音楽文化の振興など、その活動は多岐にわたる。著書に『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』、『悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト』(以上、新潮社)、『138億年の音楽史』(講談社)などがある。
企画制作:浦久俊彦事務所