アーティストインタビュー
肩の力を抜いて遊びに来てください
お二人はとても親しい間柄ということですが、出会いのきっかけとは?
指揮者の小澤征爾さんがオペラを通じて若い音楽家を育成する音楽塾を主催されているのですが、笑里さんはそこに参加されていて、私は審査員として聴かせていただいたのがきっかけです。
オーボエ奏者の巨匠・宮本文昭さんの娘さんだけあって、謙虚に音楽に取り組んでいらっしゃる印象が強かったですね。
川本さんと共演というオファーを受けたときは、どう思われましたか?
恐縮しすぎてしまって、お名前を出してくださっただけでも、大変ありがたいことです。父から川本さんは素晴らしいヴィオラ奏者だという話も聞いていましたし、実際コンサートを聴かせていただいて、「どうやったらこんなにも深く包み込むような音色が出せるんだろう」と感動と衝撃を受けたことを覚えています。ご一緒できるだけで幸せです。
今回はサロンコンサートということで、どんなステージをイメージされていますか?
普通のコンサートと違って、演奏者側がお客様をもてなすという演奏会は初めてです。普段、ステージでしゃべることはほとんどないので、緊張と共に楽しみのひとつです。お客様が会場を出るときにどんな気分になるかを想像して、音楽もトークも組み立てていきたいですね。
私も、このステージがどういった響きになるかすごく楽しみですし、聴いてくださる方もそれを感じてくれたら嬉しいなと。肩に力を入れず、リラックスした感じでできたらいいですね。
クラシックのコンサートに行くのはハードルが高く感じる人も、アーティストの自宅サロンに行くイメージできていただくことで、クラシックに興味を持つ人が広がるといいなと思っています。
確かに、「交響曲何番」というだけで敷居が高い感じがありますよね。そういうものを取っ払った演奏会は、私もとても興味があります。
お客様にも楽しんでいただけるよう、それぞれのソロとデュオの楽曲を組み込んでいます。私も川本さんのファンなので、川本さんのソロが聴けることをとても楽しみにしています。また、二人で演奏させていただく楽曲も、寄り添うようにつくり上げられたらと思っています。
ハクジュホールは響きが素晴らしいので、このホールで笑里さんと共演して、二人のカラーをつくり上げると思うと、それだけで楽しみです。
コロナ禍で、生活スタイルに変化があったと思われますが、お二人はどんな感じで乗り越えておられますか?
緊急事態宣言が出た当初の頃はずっと家にいました。ヴィオラ奏者は、他パートの目配りで1日終わってしまうのですが、初めてこんなにも家にいたことで、人のことばかり考えていたなって思ったんです。だから、自分のこと、自分の身の回りのことを考えて、自分に集中しようと切り替えて、生活を楽しんでいました。
私もそんなに出歩くタイプではないので、家にいてやれる練習だったり、曲づくりをしていました。加えて、子どもと一緒にいる機会が増えたことで、日々当たり前のように忙しくして見逃していたことに気づいたり、自分の親もこうやって愛を与えてくれていたんだなど、改めて考えることも多かったです。