アーティストインタビュー

巡ってきたチャンスはすべて挑戦したい

石上真由子
医師免許を持つ異色のヴァイオリニストとして、国内外を問わず、ソロ・室内楽・オーケストラなど幅広く演奏活動を行う石上真由子さん。
2023年1月10日、Hakuju Hallにて、弦楽トリオのコンサートを開催するにあたり、音楽に対する想いをうかがいました。

石上さんには、CDデビューのコンサートをはじめ、ハクジュホールで弾いていただく機会が多いですが、どんなホールだとお感じですか?

石上

響きが素晴らしいだけでなく、客席との融合感や程よいキャパシティなど、バランスがとれた、大好きなホールです。コロナ禍になってから、コンサートがことごとく中止になってしまい、演奏家たちが困っていたときに、最初にホールをあけてくださったのも原さんで、その行動に勇気づけられました。原さんに感謝している音楽家は多いと思います。

そう言っていただけて、嬉しいです。今回、弦楽トリオ(ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ)での演奏ですが、トリオという編成にどんな魅力を感じていますか?

石上

カルテット(4人編成)で合わせるとシビアな感じがありますが、トリオは自由度が高く比較的気楽です。メロディーも弾くし、支える側にも回るし、ヴァイオリンだけどチェロ的な役割もするし、チェロの人もメロディーを弾くし、マルチに役割分担をみんなでやる面白さがあって、けっこう好きです。1時間のコンサートのなかで、弦楽トリオの面白さを、いろいろな曲を通して見つけてもらえたら嬉しいです。

弦楽トリオは演奏機会は少ないけれど、魅力的な曲も多いですよね。今回のコンサートは、若手とはいえ大物揃いですから、楽しいトリオになる予感がします。

石上

私もそう思います! 曲は、夕暮れから朝日が昇るまでの夜の時間にはまりそうなものを選びました。コンサートに来ていただき、日が沈んで朝がやってくるまでの時間を楽しんでもらう、というコンセプトで考えています。

弦楽トリオの魅力が伝わりそうなプログラムですね。そういえば、石上さんは、お医者さんの資格を持っているんですよね。ヴァイオリニストの二足のわらじは難しいと判断して、研修医の申し込み締め切り1分前に、研修医になるのをやめる決断をした、と聞きました。

石上

ええ。研修医をしてないので、保険診療はできませんが、自由診療はできるんです。医師免許も有効活用したいとは思っているんですけど、なかなか(笑)。

それにしても、石上さんは幅広くたくさんの活動をされていますよね。

石上

今は、チャンスが降ってきたら全部やってみようかなって思っています。この前はオーケストラのコンサートマスターをさせていただいたのですが、やってみて気づくこともたくさんありました。

京都でも、こだわりのプログラムで活動されていますよね。

石上

最近はお休みしていますが、お話をしながら室内楽の演奏をする「アンサンブル アモイべ」というシリーズをやっています。固定概念にとらわれない自由度の高いコンサートをすることで、お客さんに楽しんでもらいながら、室内楽を浸透させていければ、と思っています。

プログラムノート(曲目解説)もご自分で書かれるのですよね?

石上

書き始めるまでにわりといろいろな文献を読まないといけなかったりするのですが、知識だけなら誰でも得られるので、そこにプラスして、演奏家目線で曲をどんなふうに見ているのかを書いています。そういうものが書ければ、演奏家が書く意味もあると思っていますし、案外、お客さんも楽しみにしてくださっていたりするんです。

プログラムノートを書くのも時間がかかると思いますが、いつ書いておられるんですか?

石上

夜中に書くときもあれば、朝書くときもあるし、移動中に書いたりすることもあります。今回の弦楽トリオのコンサートでも、プログラムノートを書けたらいいなと思っています。

あまり無理をなさらず、睡眠時間を確保してくださいね。本番を楽しみにしています。

私の健康の秘訣
ベッドに敷くマットレスタイプのヘルストロンを使っています。使用して3カ月目ですが、基礎体温が上がりました。今までは、36度を下回っていたのですが、最近は36.5度くらいが平均です。冷房が効いている場所にいても、そんなに冷えなくなってきたような気がします。
また、ジムにも通っていて、電気刺激で負荷をかけながらトレーニングをしています。以前ぎっくり腰で動けなくなってしまったことがあるので、体幹は大事だと痛感しました。立ってヴァイオリンを弾いていると前傾姿勢になりがちですし、座って弾いていると反り腰になりがちなので、健康で好きなことを続けるためにも、体のメンテナンスの大切さを感じています。

※株式会社白寿生科学研究所ユーザー情報誌「ヘルシーメイツ」2022年秋号から転載