アーティストインタビュー
特殊管の音色を楽しめる機会です
ピッコロ・フルート奏者の梶川真歩さんに、5回目となるコンサートの魅力について語っていただきました。
奥渋谷に位置するNHKホール、Bunkamura、ハクジュホールの3館連携で何かできないか、ということから始まったN響メンバーによる室内楽シリーズですが、今回で5回目を迎えました。室内オーケストラ版や、弦楽器だけのステージなど、さまざまな形で挑戦していただいていますが、今回は、管楽器だけという編成で、面白いステージになりそうですね。
「木管2番奏者による特殊管の世界」というテーマで演奏します。2番奏者とは、合奏でいうとメロディーではないハモる部分をサポートしている人のこと。オーケストラも各楽器ごとに、メロディーを弾く人と、メロディーではない色を添えることに徹している人とに分かれていて、2番奏者は、音に厚みをもたせるために、大事な役割をしています。 また、2番奏者は、特殊管といって、音の出し方は同じですが、音色や音階が異なる楽器を受け持ちます。たとえば、フルートの特殊管はピッコロ、オーボエの特殊管はコールアングレ、のように。曲によって特殊管が必要な場合は、2番奏者が持ち替えて演奏します。
特殊管のソロは印象に残ります。ドヴォルザークの交響曲「新世界」より第2楽章ラルゴのコールアングレのソロは、多くの人が聞いたことのあるメロディーですよね。
ええ。「新世界」も演奏しますので、楽しみにしていてください。
ピッコロとフルート、オーボエとコールアングレなどの音の違いを聴けるというのは、魅力ですね。
そうなんです。こういう特殊管の楽器を一挙に木管セクションで聴ける機会はなかないないので。特殊管の音がわかると、オーケストラで耳にしたときになんの楽器か判断できて、楽しみになると思います。マニアックすぎないように、オーケストラでよく聞くような曲を中心に編成しました。
解説も入れたりしますか?
入れようと思っています。初めてオーケストラを聴く方にも、よく聴いている方にも、2番奏者の仕事をもっとわかりやすくしたいです。首席奏者のペースに合わせるプロフェッショナルな縁の下の力持ちのポジションにいる人たちを集めているので、そうしたところもお見せできたらと思います。
N響の本拠地であるNHKホールは耐震工事で1年半くらい休館していましたが、何か変化はありましたか?
休館中は池袋の東京芸術劇場で、休憩なしの短時間の定期演奏会をしていました。駅も近く、さくっと帰れることから、若いお客さんも増えたような気がします。新しい世代のお客さんを獲得していくために、私たちに何ができるかを考えるようになりましたね。
コロナ禍で、お客さんも減ったと聞きました。
外国人の指揮者やソリストが呼べなくなったことから、N響の魅力や価値を見直すために、個の力をあげていくことや、新しい世代のスキルアップにも力を入れようという方向になりました。飲み会もなくなり、団員同士で話す機会も減ってしまったので、こうして室内楽を演奏させていただくことで、それぞれの音楽観や魅力を再発見できることも多く、本当に勉強になっています。
場を提供している側としても、嬉しいです。
おかげさまで、満席になる公演も増えてきました。コロナ禍がきっかけになり、これまで漫然とやってきたことや、コミュニケーションの取り方などを見直すことができて、N響の新しい魅力をみんなで作っていければと思っています。
今後を楽しみにしています。
最近、膝を痛めてしまったり、胃腸の調子も悪いと感じることがあり、発酵玄米を取り入れるなど、発酵食品をよく食べるようにしています。
また、お風呂は毎日1時間くらい、汗をかくまで湯船につかったりして、リラックスすることも心掛けています。
フルートを吹く体勢をずっと続けていると、どうしても体に歪みをつくってしまうので、整体通いは必須です。
若いときはいくらでも無理をして練習できたのですが、今は体に負担をかけないように、基礎練習に時間をかけて、なるべく脱力して効率よく練習できるようにしています。