アーティストインタビュー
邦楽器の魅力が伝わるステージに
2023年11月、2024年1月と当ホールでのコンサートに出演される本條さんに、邦楽の魅力を語っていただきました。
本條秀慈郎さんには、立て続けにご出演していただく予定になっていますが、第一弾は、11月16日の「Mostly Fujikura@Hakuju Hall」ですね。ハクジュホールでは、開館10、15周年記念に作曲家、藤倉大さんによる音の「個展」を企画させていただいたこともあり、20周年の節目でも、藤倉さんにお願いし、藤倉さんの作品を中心に、邦楽の世界を楽しんでもらえればと思っています。
今回、尺八の藤原道山さん、筝のLEOさんとの3人で、コンサートができることが本当にありがたいのですが、世界初演の曲が2曲もあり、他にもそれぞれのソロ曲があったりして、とても贅沢なプログラムになっていると思います。曲を巡っては、僕はどちらかというと遠巻きで見守っていた感じですが(笑)、藤倉さんとディスカッションしながら、みんなでつくりあげていった感じです。
それは楽しみです!そして、第二弾は、来年1月13、14日で当ホール主催の「Hakuju 邦楽フェスタ2024」でのご出演ですね。クラシックのホールから邦楽を広げていきたい、ということで企画しています。
実は、ずっとハクジュホールで企画されているギ・ターフェスタに憧れていまして、あんな感じでいつか邦楽フェスタができたらな、と思っていたんです。そうしたら、なんと邦楽をフィーチャーしたフェスタをホール主催で企画してくれるというので、これはものすごい事件だと思いました! 邦楽というとどうしても劇場やお座敷で演奏するイメージが強いのですが、名のあるクラシックホールで邦楽を取り上げてくださる、というのは本当に嬉しいことです。
間口を広げるためにも、邦楽フェスタでは流派を超えて新しい試みをやりつつ、普段は伝統をきっちり守る、そんなことができたらいいなと思い、場を設定させていただいています。オーボエと三味線のデュオや、邦楽器で日本の歌曲を歌うなど、面白い試みを考えています。
邦楽器の魅力のひとつは、音の美しさではありますが、クラシックのホールで、音色と音色のぶつかりあいを実現できるというのは楽しみです。
第三弾は、「クレア・チェイス&本條秀慈郎 フルートと三味線による新しい音を求めて」というコンサートですね。実は、このプログラムの曲は、2020年、ハクジュホールとハーバード大学が藤倉大さんに共同委嘱して完成した作品ですが、コロナ禍でコンサートの予定がたたなくなり、2025にようやく日本初演を迎えられることになりそうです。感慨深いですよね。
クレアさんも無事開催できること、そして、日本的なプログラムで演奏できることを喜んでおられました。プログラムにある藤倉さん作曲のアルトフルートと三味線のための曲「冷泉」は、藤倉さんが三味線を習い始めて書いた曲なんです。なので、思い入れのある曲になっています。実は、僕が藤倉さんに三味線を教えているのですが、藤倉さんは勘所がよくて、とても巧みでいらっしゃるので、いつも驚いてばかりです。
作曲家は、技術的に演奏が可能かどうかがわからないので、必ず技術監修的な方がつきますが、藤倉さんご自身が三味線を習われているということで、どんな曲になるか楽しみです。
演奏の場を実現させていただけることに、感謝でいっぱいです。
私自身もいろいろなご縁でこうした場づくりができているので、ぜひたくさんの方に聞いていただきたいです。「知ることから全てが始まる」と思うので、そうしたきっかけとなるコンサートになればと思っています。
僕は、小さいことでも気にしてストレスがたまりやすい性格なので、1日の過ごし方で解消します。まずは気持ちよく朝練をします。お昼になったら、のど自慢やサスペンスドラマ、映画、対談番組などを観たりします。すると、自分の喜怒哀楽が出てきてくれるのです。その後、譜面を書いたりする流れで1日を過ごすと、ストレスがいつの間にか解消されています。心の中で自分の好き勝手をしている感じです(笑)。
もうひとつは、楽器を演奏すること自体が健康法だと考えています。着物の着方、所作、姿勢などに普段から気をつけて、健全に楽器を演奏することで、心身ともに落ち着きます。